自宅療養とIT化

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自宅療養中に亡くなる方が今も続いています。感染者の数はやや減少し始めたものの、重症者や死亡者数はほとんど減っていません。厳しい状況が続いていますが、菅総理の感染対策の是非を改めて問うとともに、そのIT化についてもコロナ対策と絡めて検証したいと思います。

「災害」レベルの意味

オリンピックにつづいて、パラリンピックでの日本選手の大活躍に日本中が湧いていますが、一方ではデルタ株の猛威もつづいており、入院ができない自宅両者は増加の一途をたどっています。

自宅療養中での最新の死者の数をまとめたデータが出てきませんので、検索ページに列記されている、自宅療養中の死者に関する各地の報道にリンクを貼っておきます。厚労省はこんな基本データすら収集して公開してないのでしょうか。

前号豪雨とコロナとスリランカでは、さすがの菅総理も臨時病院の開設に動かざるをえないだろうと書きましたが、1週間余り経った今も、自宅待機メインの方針には変わりはありません。デルタ株の蔓延以降、コロナ感染拡大は災害レベル並みだとの専門家の指摘はすでに何度も見聞きしていますが、菅政権の対応からは、「災害レベル並み」だとの切迫感はほとんど伝わってきません。

1週間ほど前、NHKラジオニュースで、東北大学医学部の小坂健教授が「災害レベル並み」とは、何を意味しているのかを非常に分かりやすく解説されていました。

災害といえば、一般的には地震や豪雨災害などの自然災害を指しますが、自然災害の場合、被災地では遅滞なく避難場所が設置され、危険が迫ると人々はこれらの避難場所に退避します。

感染症が災害並みのレベルに達したのは今回が初めてですが、感染症の場合も災害レベルに達したのであれば、同様の処置が取られるべきであり、それが災害レベルの意味するところだと、小坂教授は指摘されていました。

つまりコロナ感染拡大が災害レベルに達したとなれば、感染者は自宅で待機するのではなく、対応可能な退避場所(病院ないしは臨時療養施設など)に移って、適切な治療を受けるべきだということです。

菅総理は自宅療養している患者を医師が戸別訪問して治療に当たるという当初からの方針を撤回する気はなさそうにみえます。体育館などの広い施設を使った臨時病院といえども、作るのは簡単ではないと考えて、即実行できる自宅療養方針を続行中なのかもしれません。

しかし個別訪問の場合は、連絡を受けて往診に向かう医師も看護師も、全身防護服を着こんで患者宅を訪問し、終わればそれを脱ぐ。新たに連絡が入れば、また防護服を着る。この防護服の着脱だけでも大変な労力であり、着脱のための時間も余分にかかります。

もしもこれが、広い臨時病院であれば、一度着こんだ防護服で何人もの患者を診ることができますし、診察に当たる医師も一人ではなく複数人いますので、かなり様子が分かってきたというこの未知の感染症患者の診断や治療にも、普段は自分の個人医院で診療にあたっている医師たちにとっても心強いはず。

以下のレポートによれば、自治体の中にはすでに簡易な医療施設を開設しているところもあるようですが、国が臨時の医療施設設置に関する明確な方針を示していなので、対応能力はバラバラだというのが実情のようです。

新型コロナの酸素ステーション・入院待機ステーションでできること 現状の課題は
倉原優 呼吸器内科医 8/22(日) Yahoo Japan

しかし菅総理はなぜ、従来株の数倍の威力を持っているデルタ株が猛威を振るっているにもかかわらず、自宅療養を対策の柱に据えたのでしょうか。

人材が不足しているからだと思われますが、その状況判断の甘さ、緩さからは、やむをえないという苦渋の決断という様子は全く感じられません。菅総理からは、あらゆる手段を駆使して国民の命を救おうという必死さが全く感じられません。それどころか、政府としては余り手間暇をかけずに実現可能な自宅療養に決めたという印象です。

さらに菅総理は、1週間ほど前、自宅療養中に死亡する患者が続出していることが報じられているさ中、徹底的に改革を進め、リモート診療を促進させるとして、河野行革大臣にその旨伝えたとの報道がありました。逼迫している医療体制を総理得意のITで解消するとの意思表明だったのかもしれませんが、今言うことなのかと、その感覚のズレと鈍さには正直、驚きました。医療にあってはリモート診療はあくまでも補助的なもの。

将来、VR(仮想空間)→AR(拡張現実)→MR(複合現実)などの技術の進展によっては、遠隔地からでも対面診療のようなことも可能になるかもしれませんが、現在ではリモート診療はあくまでも二次的なもの。

ましてや、短時間のうちに症状が急変することも特徴の一つであるコロナ感染では、リモート診療は患者を救う機会を失う可能性の方が高い。今菅総理のなすべきことは、目の前で、入院できずに自宅で亡くなる患者さんたちを見捨てるのではなく、あらゆる手段、方法を駆使して救うことではありませんか。

昨日のNHKの日曜討論では、田村厚労大臣はさすがに臨時病院開設の必要性を表明していましたが、自治体に丸投げではなく、国としての設置基準も明確に示し、基準を満たすためには国を挙げて支援する体制も早急に整えるべきだと思います。

日英のコロナ対策とIT化比較

ここで参考になるのは、毎日5万人の感染者が出ているにもかかわらず、医療崩壊が起こっていないというイギリスの事例です。

「一日の感染者5万人」でも英国が「医療崩壊の心配ゼロ」の理由
病院の9割が国営、データサイエンス用い医療資源を効率的に配分
2021.8.21 黒木 亮 JBPress

上記の記事には、パンデミック時の国の対応としての模範が示されています。

サブタイトルにあるように、一つは、病院の9割が国立病院だということで、パンデミックへの対応が組織的にかつ迅速に実施できていること、同時に、全国民の医療に関わる情報を国が把握しており、感染者の状況もリアルタイムで把握し、迅速に必要な処置が取れる体制が構築されていること。

しかしこうした対応は、ジョンソン首相や政治家が前面に出てきて采配するという、日本のようなというか、菅流(安倍流も同類)のような政治家が全てを牛耳る(専門家委員会には事後相談で了解を得る)体制では実施不可能であることは明白です。本来は逆であるべきはずです。瞬時、瞬時に、専門家が状況を把握し、判断を下せる体制は不可欠です。

上記レポートによると、イギリスではNHS(無料の国営医療サービス)が、感染対策の陣頭指揮を執り、状況に応じて迅速に対応してきたことが報告されています。中でも驚かされたのは、NHSには「NHSデジタル」というIT専門部門が設置されていることです。以下にその紹介部分を引用します。

 NHSには「NHSデジタル」(本部・西ヨークシャー州リーズ市)という約6000人が働く情報・IT部門があり、そこが患者との最初の窓口になるGP(家庭医)から患者個々人の情報を吸い上げている。これが医療体制の効果的運用を可能にした。
 多数のデータサイエンティストがGP経由で送られてくる情報をもとに、地域ごとの将来のコロナ患者数の予測などを行い、経営陣がどの病院のどの部門を閉鎖・縮小し、どの設備と医療スタッフをコロナ病床やICUに振り向けるか、あるいは逆にどのコロナ病床を元の部門に戻すかといった決定や勧告をしている。的確で詳細な予測と指示によって、ごく短期間で必要な病床と医療スタッフの確保を実行しているのである。

「一日の感染者5万人」でも英国が「医療崩壊の心配ゼロ」の理由
病院の9割が国営、データサイエンス用い医療資源を効率的に配分

国立病院機関だけで6000人を擁するIT専門部門があるとは!
日本との余りの違いに、驚きを通り越して唖然とするばかり。病院関連だけでこれだけの陣容でIT化に対応していることからすると、イギリスでは政府、あるいは社会全体でのデジタル対応体制は日本人の想像を超えているとも思われます。

日英のIT運用能力には、大人と幼児、いや乳児ぐらいの差がありますね。GDPでは日本はイギリスよりもかなり上ですが、真の国力はどちらが上かは明白です。GDPを国力の指標とすることは、そろそろ止めるべきかもしれませんね。

目下のコロナ禍で、日本では、ワクチン接種も未だ紙が使われています。先日、モデルナワクチンに異物が混入していたことが発覚しましたが、該当者はニュースで初めて知って、驚きかつ不安に襲われたそうです。しかし政府からも代理生産している武田薬品からも連絡はなし。
『モデルナ難民』はワクチン接種の『デジタル化』の遅れが生んでいる
神田敏晶 ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント 8/27 KNN/Yahoo

昨日は、東京渋谷で始まった若者に向けたワクチン接種の予約申し込みに、想定外の大勢の若者が殺到したことが報道されていましたが、若者は接種には消極的だとの思い込みがあったとはいえ、これこそ即ネット予約を導入すべきでしたね。なぜネット予約にしなかったのかは、不可解至極。

コロナ禍では日本のIT化の遅れが容赦なく暴露されたことは、今更いうまでもないことですが、政府・菅政権はこの遅れをどこまで深刻にとらえているのかははなはだ疑問です。

デジタル庁ができれば全て解決するかのような幻想がありますが、デジタル庁にその実があるのであれば、この緊急事態下では、発足前からはみだし的に何らかの対応がなされるはずですが、ほぼ皆無。菅総理は自分が全てを牛耳りたいのではみ出しを許さないのか、あるいははみ出すほどの力はないないのか、どちらなのでしょう。

今の日本にとって緊急的に必要なのは、個々の医師によるリモート診療の普及に力を入れることではなく、9割が国立病院系だというイギリスをそのまま真似ることは不可能だとしても、パンデミック発生などの緊急事態でも即対応できるような、アメリカをはじめ各国にはほぼ設置されている疾病センター(CDC)のような機関を早急に設置することではないですか。

日本には各地にある地域の健康医療を担う保健所しかなく、今回も保健所が全てを担わされるという歪な対応を余儀なくされましたが、菅政権も与党もその異常さを異常とは考えていません。これも理解不能な異常さです。

関連の国立の施設としては国立感染症研究機構(NIID)と国立国際医療研究センター ぐらいしか見当たりませんが、両者とも研究が主軸のようなので、CDCの役目を果たせないのは明白です。

日本には、世界各国にはほぼ設置されているデジタル情報技術専門の役所とCDC的な機関がありません。統治機能の重大な欠損ですが、国民の大半はコロナ禍ではじめて、日本にはこの2つの重要な役所ないしは機関が存在しないことに気づかされました。

デジタル庁は9月に発足するそうですが、名前だけでデジタル化が進むはずはなく、その実質については、絶大な権限を持つに至った目下の政権の総理をはじめ政治家の皆さんが、その重要性についてどこまで理解しているのかは非常に心もとないのが現状です。

自民党ではもっともデジタルに精通しているらしいと言われている菅総理ですが、ぐるなび重用というレベルです。飲食店監視にもぐるなびが重用されていますが、支援者に公共工事を発注するのは違法ではないのですか。過去には同様の事案で辞職した政治家が何人もいましたが、菅総理はなぜ癒着が問われないのでしょうか。

癒着といえば、横浜市長選挙絡みで、菅総理と在日韓国人との密接な関係も暴露されていますが、何とその在日韓国人は、民主党の菅直人元総理が献金を受けたとして大問題になった、その在日韓国人と同じ人物だったという驚愕の事実が「週刊文春」で暴露されています。その在日韓国人は、菅総理の「タニマチ」と呼ばれるほどに総理とは密接な関係にあったという。

官直人元総理はこの違法な関係が国会で厳しく追及されていましたが、もう逃げることは不可能な、絶体絶命だと思われたその国会審議の渦中に3.11の東日本大震災が発生、この問題はうやむやになりました。危うく命拾いをした菅直人氏はその直後から、大震災と福島原発事故で超異常な対応に突入。菅総理をめぐっても同じような地獄の再来があるかもしれない。その地獄の再来を恐れて、菅総理と韓国人との違法な関係は不問に付されているのでしょうか。

横浜市長選挙では小此木氏は菅総理の犠牲になったわけですが、菅総理からはご苦労さんの一言があっただけだという。

なお、ぐるなびの飲食店監視の件で付け加えると、現場の検証に当たる消防署によると、飲食店でのコロナ感染は、換気装置や消毒や店員の感染の有無のチェックなど、店側が原因の発生はほぼ皆無だという。マスクをはずして大声でしゃべる客からの感染が大半だとのこと。

ぐるなびの監視機能はほとんど使われていないだろうとは思うものの、委託費は払われているのではないか。仮に前半のGo To Eatだけにしても、癒着した業者への公共事業提供にあたるのではないのですか。この点でのマスコミの追求も余りないのが不可解ですが、在日韓国人との癒着も不問に付されたならば、法律の存在意義はありませんね。

参照:政治資金規正法 総務省e-GOV