高市総理の台湾有事発言が中国を激怒させていますが、高市総理は日本の法体系では不可能な事態を想定して中国を激怒させているだけではなく、台湾にも日本国民にも誤解を与えています。この発言の深層と真相を明らかにしつつ、高市総理の政権運営能力を検証しています。他に、濡れ手で粟の自民党のボロ儲け手法、山上裁判と再審法、ウクライナ問題にも言及。(アイキャッチ画像の背景画はcopilotで作成。)
目次
1.オンナ総理のマウント・ファッション
高市総理の台湾有事発言をめぐって中国の脅しが日々激しさを増しつつある先日、以下のようなブログを目にしてビックリしました。高市首相に対して「こんなバカ」とはいったい何事かと、思わず記事をクリック。
高市首相に「こんなバカ」投稿で波紋のバンドボーカルが釈明 「対象が誰であっても適切な言い方ではなかった」
J-CASTニュース 2025/11/30
GEZANのボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポーという、初めて目にしたアーチストのブログでしたが、現在若者に大人気で、中国でも人気を博し大勢のファンがいるという。マヒトゥ・ザ・ピーポー氏は中国でも何度も公演をしているそうですが、今年の公演は高市総理の台湾有事発言で突如中止。中国のファンに会う機会を突如奪われたマヒトゥ・ザ・ピーポー氏はかなりショックを受けていたという。
そんなさ中に彼は、高市総理の以下のX投稿を目撃。余りの内容に衝撃と怒りを受け、思わず「こんなバカ」と高市批判を公開したものの、「こんなバカ」との表現に批判が殺到。その批判を受けて謝罪したのが上記の記事だとのことでした。
そこで、問題となっている高市総理のX投稿をネットで検索。以下にご紹介します。
臨時閣議で総合経済対策を閣議決定し、記者会見の後、南アフリカで開催されるG20ヨハネスブルグ・サミットに向かう道中です。
途中の給油時間を入れると片道21時間を超えますから、サミットのセッションや首脳会談は2日間ですが、足掛け4日間の出張になります。… pic.twitter.com/g1vIgU6WMq
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) November 21, 2025
上記投稿は、南アフリカで開催される、G20ヨハネスブルグ・サミット出席に向けた準備をめぐっての高市総理のXですが、問題個所を以下に引用します。
「昨日は、午前中の日程を空けてもらって出張用荷物のパッキングをしましたが、悩みに悩んで凄く時間がかかったのが、洋服選び…。 去る11月14日の参議院予算委員会における安藤裕参議院議員の御発言が、頭の中でグルグル。」
「(安藤議員の発言)これから、高市総理はじめ各閣僚の皆さんも、世界各国のトップと交渉しなくてはなりません。そのときに、できれば日本最高の生地を使って、日本最高の職人さんが作った服でしっかりと外交交渉してもらいたいんですよ。安物の服で対応していたらなめられます」
こんな問答が参院予算委員会でなされていたとは!!!信じられない!と驚愕と怒りに襲われましたが、質問したのは自民の参院議員かと思っていたら、何と参政党の議員だったとは!!!新興政党参政党の新人議員とはいえ、国会で、社会常識も何もないこんな低能レベルの質問をするのかと愕然とさせられています。
日本が直面している窮状、苦境については全く何も感じていない質問だとしか思えません。わたしは二院制支持者でますが、これでは参議院廃止論が出されても、押し返すこともできないではありませんか。
しかし高市総理は、安藤議員のこの場違いでトンマな提案を真剣に受け止めて、軽薄きわまりないつぶやきというには長すぎる、特注のつぶやきを公開の場Xに投稿しています。
「私は日本最高の生地を使った服や日本最高の職人さんが作った服は持っていませんが、安藤議員の御指摘は一理ある気がして、クリーニングから戻ってきた服の中から、「安物に見えない服」「なめられない服」を選ぶことに数時間を費やしました。 結局、手持ちが少なく、皆様が見慣れたジャケットとワンピースの組み合わせで荷作りを終えましたが…。 外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ。」
(*マウント・・・他者より優位であることを示そうとする言動を指す俗語。)
高市氏がXにこんな投稿をしていたことを知ってビックリ、見てビックリ。これが一国の総理大臣(首相)の発言なのか。高市総理は、事の良し悪し、適否についてごく初歩的な判断もできない軽薄きわまりない人物だったのかとかなりのショックを受けてしまいました。マヒトゥ・ザ・ピーポー氏の怒りももっともだと思いつつも、わたしの中にあった高市総理像が粉々に崩れてしまったことのショックの方が大きすぎて、しばし呆然としていました。高市氏のこの投稿はそれほど稚拙だということです。
高市氏のポストに対しては賛否両論コメントが寄せられていますが、批判コメントの一部を以下に引用します。
れいわ星の砂
@tf9dMoexOm7mc7o
11月22日
服を選ぶより言葉を選べよnab
@nab49514044
11月22日
なめられないように服を選ぶ、マウントを取ると呟く思考回路がもう狂っている。これから会いに行く指導者達へのリスペクトもない。全部筒抜けだという認識はないのか?リスクヘッジ出来てないから中国を怒らせたのに反省もなし。こんな総理は日本人の恥。今すぐ辞めなさい。学習するバク
@hippopotalearn
G20の開催に先立って「日本の総理大臣がみなさんの国にマウント取りに来ましたよ」って宣伝してどうするんですか。 失礼だし軽薄だし外交上もデメリット。
わたしは、高市総理による就任早々の外交デビューの様子を見ながら、高市総理はこんなに女っぽい人だったのかと驚ききました。男性の総理ではありえないようなある種の華やかさを辺りに振りまくような動きや、トランプ大統領が高市総理の腰に手をまわしてエスコートする様子などなど、画像から伝わる視覚的な印象から感じた「女っぽさ」ですが、男性の各国首脳はもとより、これまで何人も目にしてきた海外の女性首脳たちにも一度も感じたことのない雰囲気であり、印象でした。
この女っぽさは、高市総理にもともと備わっていた個性なのかと思っていましたが、Xへのマウント・ファッション投稿を見て、高市氏が外交の場で振りまいていた女っぽさは、ここまで稚拙な「オンナ、オンナ」したものだったのかと、当初感じた驚きとは別種の驚きに襲われました。
外遊の服装選びで、高市氏がこういう基準で選んでいたとしてもそれも外交政策の一環だとも言えなくもないですし、そもそも高市総理の心の中のつぶやきなので外部には全く漏れないわけですので、批判の対象にはなりえなかったわけです。しかし、堂々とマウント・ファッション投稿をしたという時点で、自らの稚拙極まりない女っぽさを我々国民の前にぶっちゃけてしまったわけです。この時点で高市氏の「女っぽさ」は「オンナぽっさ」に大変身。
事もあろうに、ジョージワシントン艦上において、アメリカの大統領が日本の女性総理の腰に手を当ててエスコートするという、前代未聞のアクシデントというかハプニングが発生したのも、トランプ大統領が高市総理のそのオンナ性に吸引させられた結果だったのではないとも思われます。
なぜPaypayなのか?でもご紹介したように、トランプ大統領はソフトバンクの孫正義氏に対しても体を覆うように抱擁していますので、男女の別なく、相手によっては全身を使って親愛の情を表す開放的な人物だとの特性がまず前提としてありますが、その大統領も、他の女性首脳や女性トップに対してエスコートしようなどとは考えたこともないはずです。そんな写真は見たこともありません。
もちろん、トランプ大統領は高市総理がG20サミットで外遊する前に訪日されていますので、トランプ大統領と高市総理のツーショット写真はマウント・ファッション投稿以前の出来事ですが、野党の安藤議員のアホな質問をわざわざ持ち出して、公開の場で全面的に反応するような投稿をしたことからも明らかなように、高市氏にはこんなアホな質疑をアホで幼稚だと無視するのではなく、全面的に受容する「オンナっぽさ」が本来的に備わっていたということです。
安藤議員もどれほど常識のない人物であったとしても、男性の総理大臣だったならば、こんなアホな質問を国会の場ではしなかったはずです。総理が女性であったから出た質問だったはず。男性の総理が相手ならば絶対にしなかったようなアホな質問をしたということは、安藤議員は高市総理を男性総理よりも格上と見ていたのか,格下と見ていたのかといえば、格上はありえません。格下と見ていたからこその低劣質問です。酒席の場でならこんなアホな軽口を叩く輩もいるかもしれませんが、国会で、国会議員が質問するような内容ではありません。羞恥心の一かけらもない。こんなアホなやり取りをするために税金を浪費するな!と言いたい。
しかし最大の問題は、こんなアホな国会質疑を全面的に受容して、その反応をXで公開した高市総理の無恥さ加減です。参議院での質疑応答では高市総理がどう応えたのかは分かりませんが、Xを使って、国会審議の視聴者よりもはるかに膨大な数の人々に向かってその応えを公開しました。
すなわち、高市総理は、男性の総理大臣ならば100%ありえないような、服装でマウントを取るなどという浅薄きわまりない安藤提案を、全面的に受け入れることを公開の場で披瀝したわけです。
日本のトップである総理大臣のこの無恥さ加減には、日本国民としては恥ずかしいという以外に言葉はありませんが、総理大臣がこんな浅薄皮相な思考レベルでは、外交はじめ国政の運営に支障が生じないのかという、根本的で重大な疑問さえ湧き上がってきます。
実は、高市総理のマウント投稿騒動を知ってから、すでに書き始めていた台湾有事発言に関する原稿を全面的に書き換えて、本号はかなり辛口の高市総理批判となっています。
その高市総理の台湾有事発言に対して、中国政府は陰湿で執拗、偏執症的と言いたくなるほどの異常さで日本を締め上げ続けています。国家が精神病的症状に罹患することもありうるのだという事例を、今我々は中国を介して認識せざるをえない状況に置かれています。
精神科医の助言も有効かと思いますが、一般的に言って、精神病的症状が昂進渦中にある患者に対しては逆らうような対応をすることはダメだ、症状を悪化させるだけだということは、おそらく世界的な常識だろうと思います。
習主席を精神病者扱いをするのかと怒りを買うかもしれませんが、習主席個人ではなく、共産党による厳しい一党独裁体制を敷いてきた、共産党中国という国家体制そのものが精神病的症状に侵されているのではないかということです。
ただ、世界に例がないほどの共産党による厳しい一党独裁体制を敷いているがゆえに中国政府は、世界中を勝手放題に引っ搔き回しているトランプ大統領にも屈することなく、中国の国益最優先姿勢を貫くことができているという、もう一つの事実も我々は今、中国を介して日々認識させられています。
もちろん、中国政府が死守せんとする国益とは、中国国民を犠牲にすることも厭わない共産党による一党独裁体制を護持することを最優先にしたものであることは言うまでもありません。共産党の独裁体制下では、国民は共産党政府に操られるロボットと化すことは今回の高市発言騒動でも実証されています。
一方、中国政府による理不尽な要求と脅迫にも屈することなく、台湾有事発言の明確な撤回は拒否し続けている高市総理は、自由主義体制下でも大国の脅しに屈することなく政治的信念を貫くことは可能だという事例になるはずだ。と思いたくなりますが、高市総理の姿勢は、果たして自国(日本)の国益最優先となっているのかどうか。これは熟考する必要があるはずです。
2.存立危機事態とは何か
そこで高市総理の台湾有事発言の検証から始めたいと思います。この問題発言が出た立憲の岡田議員との国会でのやり取りはわたしは視聴していませんが、幸い、文字起こしした資料を見つけました。以下、この資料を踏まえながら話を進めたいと思います。
【資料】高市台湾有事発言(書き起こし)
伊賀 治 デマ撲滅ファクトチェック集
2025年11月17日
高市総理の台湾有事発言の何が問題であったのかといえば、高市総理の存立危機事態についての解釈と台湾をめぐる歴史的認識は、厳密さを欠いた非常に粗雑なものであったという点です。
存立危機事態とは、安倍政権下の2015年成立した安全保障関連法に規定された、以下のような事態です。
武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号) e-GOV
存立危機事態に関する詳細については上記法律をご覧いただきたいですが、簡単に言えば、日本が直接武力攻撃されていないにもかかわらず、安保条約を結んでいる同盟国アメリカや我が国と密接な関係にある他国が攻撃され、我が国の存立が脅かされ、国民の安全を危うくするような事態に立ち至った場合は、日本は自衛隊による武力行使を実行しうるという法律です。
法律を読んでも抽象的な概念でしか規定されていませんが、今回の高市、岡田両氏の国会質疑で初めて、具体的な論議が開始されたともいえるのではないかと思います。
存立危機事態の具体的な事例としては、台湾有事か朝鮮半島有事かとなるわけですが、今回の騒動で、台湾有事はそう遠くない時期に起こりうる事態であることに、今さらのように気づかされました。
【資料】高市台湾有事発言(書き起こし)を読むと、岡田氏の本当の狙いはどこにあったのかは別にして、非常に詳しく調査した上で質問していますので、我々国民にとっても存立危機事態がいかなる事態を想定しているのかを考える、初めての機会になっていると思います。
岡田氏の質問に対しては、中国に日本(高市総理)攻撃への口実を与えた媚中質問だとのSNSを使った批判も出ていますが、そんな粗雑な論法で排除すべき問題ではないはずです。憲法9条に抵触しかねない、日本の戦後史を大転換させるほどの安保関連法だと言われながら、この法律の中身についてはこれまでまともに論議されたことはありません。面倒な問題は誰もが避けたいというのが本音だったのだろうと思います。
しかし、習近平中国は台湾への武力侵攻を否定していない、つまり中国による台湾への武力侵攻もありうることは、世界周知の事実です。日本国民の大半もその認識をもっています。しかし今回の高市発言までは、誰も触れようとはしてきませんでした。
日本は台湾と地理的にも近く、親密な関係にありますが、中国による台湾への武力侵攻については、現実のこととしてはほとんど誰も考えたことはなかったはずです。憲法9条をもつ日本は、何時いかなる場合でも戦争とは無関係だとの強固な思い込みが、日本が直接かかわる戦争は現実としてはありえないという無意識の総意が日本を覆っていたのだろうと思います。
わたしも今回の騒動までは、台湾有事を現実のこととして考えたこともありませんでしたが、ここにきて初めて、存立危機事態をリアルなものとして考えさせられた次第です。
存立危機事態については、中国の異常すぎる攻撃的批判を論じる前に、まずは日本国民として、高市総理が国会で答弁した内容で正しいのかどうかを検証すべきだと思います。
高市総理の問題の答弁を【資料】高市台湾有事発言(書き起こし)から引用します。ゴシック体は引用元に従ったもの。以下、同。
岡田議員が、「自民党副総裁の麻生さんが昨年1月に、ワシントンで『中国が台湾に侵攻した場合には存立危機事態と日本政府が判断する可能性が極めて高い』」と発言したことや、安倍元総理が「台湾有事は日本有事」と発言していたことについて、高市総理の見解を尋ねた際、高市総理は以下のように答えています。
「例えば台湾を統一、あの、完全に、まあ、中国北京政府の支配下に置くような」事態が発生した場合、「それがやはり戦艦を使ってですね、そして、武力の行使もともなうものであれば、ま、これは、あのー、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。
要するに、中国政府が武力による台湾統一に動けば日本にとっては存立危機事態になると、高市総理も麻生副総理も考えていることが分かりました。安倍元総理は台湾有事と抽象的な表現ながらも、ほぼ似たような判断を示していたと思われます。
麻生副総理が昨年1月にワシントンで台湾有事発言をしていたとは今回初めて知りましたが、中国はこの麻生発言には反応しませんでした。やはり総理大臣か否かで危険度評価が変わるのかもしれませんが、ここではまず、日本の法律に照らして存立危機事態発言には問題はないのかどうかを検証することにいたします。
高市総理の発言のように中国が台湾に武力侵攻すれば、それだけで存立危機事態になるとの解釈で間違いないのかどうかということです。
存立危機事態とは内閣法制局の公式見解では、存立危機事態と武力攻撃事態とほぼ同じだとのことを、岡田議員が以下のように確認しています。
「存立危機事態に該当するのに関わらず、武力攻撃事態等に該当しないということは、まず無い」。(岩尾内閣法制局長官による国会での答弁)
ということは、直接日本への武力攻撃を受けてはいないものの、日本が武力攻撃を受けたに等しいような危機に直面した場合は、日本は武力行使ができるというのが、法的な解釈になるということです。
法的に正しい解釈では、中国が台湾に武力侵攻しても、日本が武力攻撃事態に等しい状況にならない限り、中国が台湾に武力侵攻しただけでは、日本にとっては武力行使をしうる存立危機事態とまでは言えないということです。
岡田議員は、この法制局の公式見解を国会の場でも直接確認して総理の見解をただしていますが、高市総理は法制局の解釈を全面的に認めてはいるものの、ご自身の存立危機事態に対する理解とはかなりずれていることには気づいておられません。
また、仮に武力攻撃事態と判断されうるような事態に立ち至っても、自衛隊は自国と自国民を守る以上の武力行使は認められておらず、他国、例えば中国から武力攻撃を受けている台湾救援のための、武力行使はできないというのが法的縛りになっていることも、安保関連法並びに自衛隊法を基にしたこの国会質疑応答で、岩尾法制局長官の答弁で明らかにされています。
この点は高市総理自身も、法制局長官の答弁に基づいた岡田議員の質問を引用する形で、以下のように認めています。
集団的自衛権の一般の行使を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められないという政府の見解に変更はございません。
にもかかわらず、最初にご紹介した高市総理の国会答弁だけが国内外に喧伝され、上記引用した内容とも矛盾するような解釈が拡散されています。このままでは、日本国民のみならず、台湾に対しても重大な誤解を与える可能性は非常に大。台湾軍の作戦にも重大な悪影響を与えかねません。
また仮に、日本の存立危機事態と判断されても、日本の自衛隊は、日本と日本国民救助のために必要最小限度の武力を行使するこことはできますが、台湾を中国の武力侵略から守るために自衛隊が武力行使をすることはできないということもこの国会審議で明らかにされています。
日本政府としては、存立危機事態が依拠する日本の現在の法体系下では、中国が仮に台湾に武力侵攻しても、それだけでは日本は存立危機事態とは判断できないことや、他国のために武力を行使することもできないことを明確に国内外に広報すべきです。
わたしは、憲法9条に抵触しかねないと批判されながらも強引に成立させられた安保関連法が、ここまでガチガチに日本の武力行使を縛っていたとは、この国会質疑の書き起こし文を読むまでは全く知りませんでした。
この日本の法律が、日本の自衛隊による武力行使をこれほどガチガチに縛っていることを総理自らが明確に国会で答弁していたならば、中国に対して激怒する口実を与えることもなかったはずです。
中国政府は、高市総理の国会での発言の一部に飛びつき、曲解した上て異常な反日パッシングを展開する前に、国会質疑全体を視聴していたならば、日本の武力行使は日本の法律によって、日本国そのものを守る以外に行使することは禁じられていることを確認できたはずはずです。あるいはひょっとして中国政府は、日本叩きの口実を探していたのでしょうか。
しかしこれほど厳しすぎる縛りを付して、日本の安全は本当に守れるのか。逆に心配になるほどです。
安倍元総理によると、この安保法案は、アメリカから憲法9条の改正要求が途切れることなく出されていたものの、簡単には改憲はできないので、9条改憲の代替措置として成立させた法律だったという。結果、法案成立以降は、アメリカ政府からは9条改憲の要請はピタリと止まったとのこと、元総理が、日経BPだったか、日経系メディアで語っていました。(12/10 追記)
憲法9条のお陰で、日本はアメリカと安保条約(軍事同盟)を結んでいるにもかかわらず、日本ないしは日本周辺で紛争が勃発した場合、アメリカは日本を守る義務はあるが、日本はアメリカを守る義務はありません。こんな片務的な軍事同盟は他に例はないはずですが、こんな片務的な関係は見直すべきだという趣旨の話は、アメリカ側からはかなり前から出ていました。しかしそれを解消するための安保関連法が、これほど厳しく日本の武力行使をガチガチに縛った上で運用されている法律であることを、アメリカ政府は承知しているのでしょうか。
もっとも、米軍が攻撃を受けた場合は、日本国への直接的な攻撃はなくても自衛隊が米軍援護のために武力行使をすることは、この関連法でも認められているはずです。米軍が打撃を受けたならば、まさに日本の存立危機事態そのものになるからです。しかし米軍以外の他国救援のための武力行使は、目下の日本の法体系下では認められていないということです。
高市総理は、岡田議員の質問に対して、日本の法体系の基本に沿って、それも国民にも分かるように具体的に説明しながら、親密な関係にある台湾といえども、台湾に対して中国から武力行使がなされても、それだけでは武力攻撃事態と不可分で作動せざるをえない存立危機事態と判断することはできないと答えるべきでしたね。
では、どういう場合に武力行使がなされるのか問われれば、中国が台湾に武力侵攻した場合、それを阻止するために米軍が武力行使をして戦闘状態になり、米軍から自衛隊に対して出動要請があった場合は、自衛隊は出動して武力行使をすることになると答えれば、法に沿った、法治国家としての正しい判断を示したことになり、中国からも異常なパッシングも受けずに済んだはずです。
高市総理は、以前から存立危機事態について言及していながら、憲法とも密接に関わりのあるこの重大な法律について、正確に確認せずに表面的な印象理解だけで、タカ派的な保守派の政治家としてのイメージアップのために、この法律を使っていたのではないかとさえ考えざるをえません。高市総理の、首尾の整わない国会質疑のやり取りを読んでの正直な感想です。
高市総理は自らの国会答弁が招いた国内外の誤解を解くためには、放置して時間に解決を任せるのではなく、存立危機事態に関する法的、歴史的事実について国会や国会外でも論理的に説明すべきだと思います。少なくとも国民と台湾に対しては誤解を与えないように正確な説明をすべきだと思います。
中国は、経済不況下で貯まり続けている国民の不満を反日パッシングで解消させようと、総理の発言を意図的に曲解して国内のみならず世界中で反日パッシングを展開しているわけですが、高市総理の不勉強が、その中国に日本攻撃の口実を与えることになったのではありませんか。
中国政府の本性が露わになり、中国依存の危険性に気づくきっかけになったことはそれなりに意味のあることだったとはいえ、様々な分野に日中対立の影響は出ており、政府もその被害の補填策も実行するものと思いますし、中国依存から脱却するためのリスク分散への動きも出ていることは望ましい変化だとは思います。
しかし中国政府による反日パッシングが芸能関係にまで及んだというのは、今回初めてのことではないかと思います。これまで似たような中国政府による反日パッシングが何度もありましたが、芸能界をも巻き込んだという話は聞いたことはありません。
かつて日本は国内需要だけで世界第2位の経済大国の地位を維持してきましたが、貧困化と貧困化による少子高齢化が進む中、国内需要で国の経済を潤すことができなくなり、海外需要を取り込む政策が政府の旗振りで推し進められてきました。
この点では韓国と似た傾向を呈してきているわけですが、日本の芸能界も中国に進出していたことを今回初めて知りました。中国側も門戸を広げてきたということですが、突然のパッシング騒動で、仕事を失った芸能界や映画関係者の皆さんの心痛や打撃はかなり大きなものだと思います。
特に個人や個人事務所で活動しているアーチストの皆さんの受けた物心両面の損害は、回復の目途が全く立たないけに、致命的なものにもなりかねません。芸能関係者が受けた損害については政府も社会もほとんど無視同然だと思いますので、高市総理の責任を改めて問いたいと思います。
ただ、この台湾有事発言については、マスコミも専門家も、高市総理の発言そのものを詳しく検証した例はほぼ皆無。誰もかれもが、高市総理の発言によくぞ言ったと賛意を表すばかりで、その発言の杜撰さを指摘した例は目にしたことはありません。総理の発言をチェックし、検証すべき立場にあるマスコミの杜撰さは、その結果が及ぼす影響を考えると、高市総理よりも責任は重大です。女性総理だというので、チェックが甘くなったのか。不可解です。
3.中国の曲解歴史認識 12/10 追記↓
とはいえ、この騒動の責任の大半は、歴史的事実を踏まえずに、自己流の曲解論理で反日パッシングを続けている中国にあるのは明らかです。
中国は、高市発言が「一つの中国」という絶対不可侵の原則を破ったとして怒りを爆発し続けているわけですが、以下の二つの記事にあるように、台湾の帰属については明文化した国際的な取り決めはどこにも存在しないというのが歴史的事実だという。
新聞ですら間違えた「台湾問題」に対する日本政府の立場。「日本は台湾を中国の一部と認めている」と思い込む人たちの課題
前原 志保 : 九州大学准教授
2025/11/18 東洋経済オンライン
中国が高市発言に激怒した理由、「一つの中国」原則の歴史と日米の理解
経済的威圧をかけてくる中国に日本はどう対処すべきか
横山 恭三
2025.11.27 JBPress
日中国交回復は田中角栄元総理によってなされたことはよく知られていますが、1972年2月、ニクソン大統領が日本に事前連絡もなく突如訪中したことを受けて、同年1979年9月に田中元総理が訪中して日中国交回復を果たしました。今になって振り返ると、田中元総理の日中国交回復はアメリカを差し置いての非常に大胆な判断であり、行動だったと思います。
実は、国交回復に際して日中で交わした共同声明においても、田中元総理は、非常に緻密な配慮を巡らしていたことに驚かされます。日中国交回復に関する共同声明では、二と三に台湾の帰属に関しては以下のように明文化されています。
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
千九百七十二年九月二十九日に北京で (外務省)
この共同声明の前文にも台湾の帰属に関する「復交三原則」(国交回復に際して、中国政府が提示する台湾の帰属をめぐる中国が主張する三原則)という記述が出てきますが、この「復交三原則」についても「日本側は、中華人民共和国政府が提起した『復交三原則』を十分理解する立場に立って国交正常化の実現をはかるという見解を再確認する。」と記されています。
赤字で書いておりますが、「承認する」と「十分理解し、尊重する」という書き分け、表現の違いには理由のあることは言うまでもありません。
「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」けれども、その中国に台湾が含まれているとは、日本政府は「承認していない」。ただ、台湾は中国の領土だという中国政府の立場は十分理解し、尊重すると表明するにとどめています。
上記二つの記事にもありますように、日中国交回復から6年余り後の1979年1月1日に米中が国交樹立しましたが、この時の共同コミュニケにも、台湾の帰属をめぐっては、日中共同声明とよく似た記述になっているという。
共同コミュニケには、「アメリカ合衆国は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する(recognize) 」「と共に「アメリカ合衆国政府は、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるとの中国の立場を認める(acknowledge)」との表現になっているという。
この「承認 (recognize)」と「認める (acknowledge)」という表現の違いは、日中国交回復の際の共同宣言で使い分けされている「承認する」と「十分理解し、尊重する」に対応する表現であることは説明不要でしょう。
「米国は中国の主張に完全に同意したわけではなく、中国側の立場を「理解し、それに異を唱えない」という程度の意味合いで解釈されている」ということです。これが当時の台湾帰属問題に関する世界標準の認識だったわけです。
日中共同声明とよく似た表現になっていますが、これは日中共同宣言を真似したのではなく、当時にあっては、台湾の帰属については未だ明確には確定していないというのが世界の共通認識であったからだと思われます。それゆえ、当時の中国も、台湾の帰属は未定だというニュアンスを残した書きぶりになることを受け入れたのだろうと思います。
当時は周恩来首相がご存命だったこともあり、共産党中国といえども、この世界標準の台湾認識を甘受する知性は持ち合わせていたということですが、台湾の帰属は未だ確定していないという驚くべき指摘は、歴史的事実に依拠したものであることが、以下の記事で明らかにされています。有料記事ですが、無料部分だけでも概略は読むことができます。
アメリカ政府が「台湾地位未定論」を表明。「未定論」はアメリカの一貫した立場だが、今表明したのは中国の主張に対抗するため
福田 円 : 法政大学教授
2025/09/25 東洋経済オンライン
現在の習近平中国は、国際的な条約や取り決めなどは完全に無視して、自国に都合のいい曲解論でゴリ押し、パッシングの無法的手法全開で日本を攻撃していますが、日本は、高市総理をはじめ与野党政治家のみなさんももっと勉強して、法的根拠、歴史的根拠を明示して論理的に明確に反論すべきです。
識者の多くは、時間が経てば中国の攻撃も収まるはずなので、時間はかかるかもしれないがそれまで待つしかないと助言しています。
しかしこのままでは、日本国民も国際社会も、高市総理の正確ではない台湾有事発言を日本政府の公式見解だと受け取ってしまいますよ。また、世界の多くは、病的ともいえる中国の反日パッシングに同意している国は非常に少ないとはいえ、中国政府は反日捏造話を世界中に喚き散らしています。
時間をかけて自然「鎮火」を待つだけでは、日本国民や国際社会に拡散された、正確ではない間違った高市総理の台湾有事発言は「事実」として固定化されてしまいます。高市発言が事実として発動するように憲法や法律の改正がなされない限り、高市発言は明らかに違法だといわざるをえません。
とはいえ、高市総理は発言を撤回する必要はありませんし、撤回すべきではありません。しかし、台湾有事発言での致命的な欠損部分については、日本国民と国際社会に向けて、法的根拠や歴史的事実を具体的に示しながら内容を修正する必要がありますし、中国の反日捏造攻撃に対しては、日本の法律や戦後処理に関する歴史的な事実に基づいて具体的かつ論理的に反論すべきです。
見てくれだけをいくら整えても、政治的には何の足しにもならないことは、不勉強な女性総理の表層的な台湾有事発言騒動が十二分に証明しています。世界との外交は洋服でマウントが取れるほど甘ちょっろいものではないことを、高市総理はとくと認識すべきです。
蛇足ながら付け加えると、共産党中国は、戦後も1972年のニクソン大統領の電撃訪中まではアメリカとは国交はもとより、交流すらもなく、反共主義を国是にしていた米国政府とは厳しく対立していたこともあらためて付け加えておきます。
中国政府は、今回の反日パッシングの一環で、戦前の反ファシズムでは中国はアメリカとともに戦って、日本のファシズムに勝利した。その結果を日本が覆そうとしているという、恐るべき捏造で現下の反日パッシングにアメリカを連れ込もうとしています。しかし、世界周知の事実だとはいえ、戦中も戦後も、1979年の米中国交樹立(樹立とは、米中が初めて国交を開いたということ)までは、米中(現共産党中国)は交流どころか厳しく対立していたことを強く念を押しておきます。
中国政府に告ぐ。
これ以上嘘八百を世界中にまき散らして恥をさらすのは、お止めなさい。大中国の偉大な歴史に泥を塗るだけですよ。AI関連では中国は世界の最先端を走っていますが、なりふり構わず日本叩きに狂奔している病的なほどに攻撃的な中国を見ていると、世界最先端のAI技術といえども、中国製品を買おうという国はそう多くはないはずです。
中国における世界最先端を走る科学技術の先進性と、疲弊した実体経済との大きなギャップは、知識産業が中核となる新時代においては、技術提供者への信頼が必須不可欠であることに起因しているはずです。つまり、信頼できない国からは、いくら最先端技術だとはいえ、買うことには躊躇せざるをえないということです。
日本の製造業の多くからも、国産のAI製品の登場を渇望する声が次々と上がっています。中国のAI製品は技術の先進性に加え、即使えるような実用性を兼ね備えた優れもののようですので、人手不足の日本では使いたい企業は多数存在するはずですが、中国製AIは使いたいけど、使いたくないという判断なんだろうと思います。
中国は古代から大帝国を築いてきましたが、いずれの帝国も、時代の最先端技術を擁していながら、その普及や実用化などには見向きもせずに、王朝そのものの維持に汲々としてきたという指摘を、お名前は忘れましたが、ある歴史家の方が指摘していました。
この中国の歴代帝国の歴史は、現共産党中国にもピッタリはまるのではないかと思いますが、習近平主席はどうお考えでしょうか。
*12/10 追記 ただ中国は、様々な課題に直面しながらも今なお巨大市場としての吸引力を維持しています。その吸引力にはトランプ大統領ですら抵抗できず、頭を下げて受け入れています。また、ドイツを中心に欧州各国も中国の巨大市場は無視できずに、政治的には表向きは反中的警戒は抱きつつも、企業の中国依存はむしろ強まっているとの報道もありました。
日本も中国の巨大市場を完全に無視することは、依存リスクとは異なった逆のリスクにもなりうるはずです。対中政策としては、昔よく言われた「政冷経熱」という対中姿勢よりも、さらに困難な「政冷経熱」姿勢の模索を余儀なくされていると思われます。習主席という独裁の権化のようなリーダーの登場に加え、デジタル時代というかつてとは全く異なった新時代が、かつてにはなかった困難さの根源にあるはずです。*12/10 追記
4.そんなことよりも議員定数削減を
自維政権によって国会議員の定数削減案が国会に上程されました。議員定数削減は、誰も指摘しているように、全国会議員はもとより、われわれ有権者の権利にも直結する重大問題ですよ。それをいとも簡単に超短期で国会に上程するとは、余りにも反民主主義的ではありませんか。
そもそも高市総理は、維新が連立合意の絶対条件だと突きつけた定数削減案を、自党、自民党内でもその是非を図らず、高市氏の独断で決めたそうです。おまけに維新の本拠地大阪では、維新と自民は厳しく対立しているにもかかわらず、高市氏はご自分の内閣を維持するためにこれほど重大な法案を党内にも無断で決めたということです。
自民党は、こんな法案は衆院選でも参院選でも公約には一度も掲げていません。にもかかわらずのゴリ押し。高市政権は維新に牛耳られたも同然の状況ではありませんか。
維新は批判に対しては大阪での実績を持ち出して反論しますが、大阪での維新政治のマイナス面はほとんど報じられないので、維新の反論への反論や批判は困難であるのも事実です。そんな制限のある中で、いくつか指摘しておきます。
維新が大阪では絶大な支持を得ているのは事実ですが、おそらくその最大の要因は、非常にアピール度が高く、この政策の受益者も大阪府市民の大半をカバーする高校無償化策ではないかと思います。
しかし高校無償化策を維持するためには、予算が削減された分野も出てきます。その筆頭が保健所の廃止や縮小です。その結果だと思われますが、コロナ禍では大阪の死者が日本一を維持してきました。しかしコロナによる死者が日本一であっても死者数は有権者数のごく一部です。投票結果にはさほど影響は及びません。
また、警察関係の予算も削られたらしく、遺体を包む遺体袋を洗って使わざるをえなくなったとの報道を以前、ネットで目にして驚いた記憶があります。身元確認のDNA鑑定に影響するのではないかと心配ですが、いくら経費節減といっても、ここまで切り詰めさせるのは社会の安心安全を損なうのではないか。
現在も同様の状況なのかどうかは分かりませんが、この異常な政策も、有権者の大半にまではその悪影響は伝わらないはず。ただ先日、維新の政策が直接関係しているのかどうかまでは不明ながら、大阪は全国的に見ても犯罪発生率が高いとのデータ記事を目にしています。仮に維新の政策と関係していたとしても、それを明確に認識する有権者はほとんどいないはず。
というわずかな事例でも、維新政治の危険性は理解できるのではないか。大阪府市でも議員が削減されていますし、ほぼ全員維新議員ばかりですので、議会のチェックはないにも等しい。
高市総理は、党首討論で政治とカネの問題を議論しようとした立憲の野田代表に「そんなことより銀定数削減を」と発言しました。この発言には維新に牛耳られている高市総理の思考の特異性が露呈していますね。加えてご自身も個人として高額の政治献金をもらっているので、その資金源が断たれぬように、維新の絶対条件を利用したのでしょう。高市総理も国民、国家のことなど全く考えていない自民党議員の一人だったのか。
高市総理の献金疑惑報道をいくつか紹介します。
2025.12.03
高市早苗総理に合計4000万円を寄附!オラクル創業者に日本庭園を売却した「敏腕女性経営者」の正体
河野 嘉誠 ジャーナリスト 週刊現代
2025.12.03
高市早苗総理に3000万円の巨額献金!「謎の宗教法人」が所有する奈良の神社に行ったらスゴかった!
河野 嘉誠 ジャーナリスト 週刊現代
高市早苗と小泉進次郎にも「違反献金」が発覚して橋下徹が激怒!それでも自民党が「企業・団体献金が欲しい」裏金体質
アサ芸プラス 2025/12/1
欧米の政治家に比べて、日本の政治家には2世3世議員が多いというのは、抜け道を探せば、個人献金がほぼ無制限に受け入れ可能で、他の商売よりも非常に儲かる商売なので代々受け継がれる家業になっているからではないかと思われます。
誰もが政治家になれるというのが真の民主主義なので、献金が政治家個人の懐には入らない、党本部やそれに類する組織に限定してカネの出入りを透明化することは、定数削減以上に喫煙の課題だと思われますが、2世議員ではない高市総理も個人の懐に入る現行制度を変えることには反対らしい。
維新議員にもキャパクラに政治資金を使ったというはずべき事実も暴露されています。
政治資金でキャバクラ 維新・奥下氏側、9万円 藤田氏、問題視の支出
2025/12/6 産経新聞
現閣僚にも不祥事が次々。
高市内閣の法務大臣・平口洋氏が政治資金から3年間で“地球34周分のガソリン代”支出、平口事務所は「適正に処理しています」
2025.11.07 週刊ポスト
売買春は「性を買う側の尊厳も害される」…平口洋法務相の“失言”が止まらない 東大法学部卒、元高級官僚議員の「素顔」とは
AERA DIGITAL 2025/12/03/
上野賢一郎厚労相 スナックに政治資金31万円、歌手FC会費に2万8000円「適正な支出だ」
[2025年11月29日7時34分 日刊スポーツ
濡れ手で粟の政治家商売
日本の政治家(自民党)は、独裁国家を除けば、世界でも例のないほどの濡れ手で粟のボロ儲けが可能な商売になっています。昨日の国会で立憲の安住議員が、自民党には政党支部が7000以上もあると暴露したとのこと、ニュースで知って卒倒しそうになりました。
現在の政治資金規正法では政治家個人に直接献金することは禁止されていますが、政党支部には献金OK。しかも政党支部の数には制限なし。いくつ作ってもOK。自民党の政治家はほとんどが複数の政党支部を作っていることは知っていましたが、7000も作っていたとは!正気の沙汰ではありません。
政党支部を作れば作っただけ献金が増えるということです。献金をもらう日本の政治家稼業(自民党議員)は、この世に存在するどんな商売よりもボロ儲けができる商売になっています。
政権与党である自民党の政治家は、選挙に当選さえすれば献金がもらえますが、献金に対する政治家個人が自腹を切って返礼することは100%ありえません。「返礼」は全て税金を使った事業などをそれと分からぬ形で大口献金者に回す。つまり献金という、企業でいうならば売り上げに当たる収益を上げるために必要な経費支出(仕入れ費用や製品を製造する費用)はゼロ。
政治家にとっては、一般企業の営業活動などの経費に相当するのは選挙費用や選挙区などでの活動費や日々の政治活動費、国会への出席だと思いますが、いずれの場合も、全て税金から経費相当分が支払われている上に、庶民からすると結構高額な歳費(給与)も支払われています。事務所費用や秘書などの人件費も税金から支払われています。
政治活動が全て税金でサポートされているにもかかわらず、自民党議員には企業からの大口献金が転がり込みます。この巨額の献金=売上には税金もかかりません。一般企業のように仕入れ費用は不要、元手ゼロの商売で、税金もかからず、献金収入という売り上げはほぼそのまま純利益になります。こんなに利益率の高い商売は、世界中探しても、独裁国家以外では、日本の自民党議員の献金漬けの政治家稼業以外には存在しないと断言します。
高市総理も某宗教団体から1000万円、3000万円という高額の献金をもらっているそうですが、この献金収入はほぼそのまま純利益、丸々高市総理ご自身の手許に残る収入となります。
一般的には、優良企業の場合でも売上の10パーセント前後ぐらいが純利益になるはずです。90%は仕入れや諸経費に充当されますが、政治家の場合は、献金をもらうために費やす経費は全て税金でカバーされますので、献金売り上げがそのまま純利益になるという、世界でも独裁国家以外には例のない、超異例の化け物ののような商売だということです。
こんなボロ儲けが可能であるがゆえに、日本の自民党の政治家には2世、3世と家業化した政治家が多数存在するわけです。
こんな異常な政治家稼業の存続を許していいのですか。もしも政治家個人の懐に入る献金方法を禁止して、政治家の家業化を消滅させることができるならば、日本の政治もかなり変わってくるはずです。カネの蓄積が不可能になって「カバン」がゼロになると、一般人からの政治家志望者が多数出てくるはずですし、もしも「カバン」ゼロでも政治家を志す2世、3世が出てくれば、彼らは真に志高い政治家になるはずです。
個人が献金を集めることが不可能になれば、政治家もカネ集め(献金者への利益誘導的な活動)とは無縁の純粋な政策探求や政治活動に全集中するようにもなるはずです。
わたしは、自民党議員が7000もの政党支部を作って、国民の目の届かぬところで、税金も払わぬ、濡れ手で粟のボロ儲けをしていることを知って、日本政治の停滞と腐敗の深刻さにあらためて愕然としています。
「そんなことより」ではなく、「そんなことこそ」を最優先すべきではありませんか。国会議員削減案を出したのであれば、カネの問題を即刻解決する法案(献金の受け入れ口を政治家個人ではなく、政党本部などに集約する法案、課税もすべき。)も国会に提出すべきです。自民党の皆さんは、税金も払わずに濡れ手で粟のボロ儲けをして恥ずかしくないのですか。
5.山上徹也裁判と再審法
山上徹也容疑者の裁判が始まっています。本人や関係者から聞く証言は生々しく、事件の背後事情をより詳しく理解することができますが、わたしがもっとも驚いたのは、これまでマスコミに登場することのなかった妹さんの証言です。
「俺のせいや」 山上被告を変えた兄の自殺 絶望の果ての復讐か 妹の証人尋問詳報
2025/11/20 産経新聞
特に驚いたのは、妹さんも祖父も兄も統一教会を憎悪していたとの証言です。これまでのマスコミ報道は、母親は目も見えなくなった兄のために献身してきたかのような印象を与えるものでしたが、実は、妹さんも祖父も兄も徹也被告以上に統一教会を憎んでいたことを知って驚くとともに、徹也被告だけではなく、山上家そのものが統一教会に破壊され尽くされたと言っても、過言ではないような状況であったことに非常な衝撃を受けています。兄は統一教会に献身する母親に暴力をふるい、包丁まで母親に突き付けたという。山上家は悲惨極まりない状況にあったことが妹さんの証言で明らかになりました。
山上被告の凶行は、統一教会によってもたらされた、悲惨極まりない一家の積年の全恨みを背負ってなされたものであったことは明白です。女性である妹さんですら、可能であれば自分も徹也被告と同じような行動を取っていたと証言しています。
しかし検察は、統一教会から受けた被害に対する復讐という、山上被告の犯行の核心的動機はほとんど考慮せずに、重大な結果をもたらした被告の行為そのものに焦点を当てて、被告の犯行の重大性を立証しようとしていますが、動機を抜きにした犯罪立証はありえないはず。
仮に動機を抜きに犯罪を立証するのであれば、犯罪の軽重は結果だけで審理されることになりますが、そうなれば裁判もほとんど意味をなさなくなるのではありませんか。
奈良県の検察が、山上被告の動機を無視しようとするのは、統一教会の悪質性を目立たなくしたいからではないですか。ひょっとして、奈良の検察は統一教会にジャックされているのでは?との邪推をしたくなるほどに、山上裁判における検察の対応は余りにも異常すぎます。
参照:安倍元総理銃撃事件・裁判 産経新聞
一方、26年前の主婦殺害の犯人が逮捕され日本中の耳目を集めている名古屋市の事件では、逆に動機に不審な点があり、検察が犯人を起訴するかどうか保留するという逆の異常事例が出ています。
26年前の主婦殺害の現場アパートを愛知県警が再捜査 夫が2千万円超をかけて保存
2025/11/1 14:48 産経新聞
この事件は、26年経っても犯人が見つからない迷宮入りに近い事件でしたが、殺人事件の時効がなくなり、捜査が続けられる中、以下にあるようにある刑事の着任で事態が急展開。
【名古屋主婦殺害】「私がいる間に絶対捕まえる」安福久美子逮捕にこぎつけた愛知県警刑事の執念「詰め切れていない女がいるはず」
「週刊文春」編集部2025/11/22
殺された高羽奈美子さんの夫、悟さんは、証拠が残されている当時借りていたアパートを2000万円もの家賃を払って借り続けたという。その思いが天に届いたのか、このアパートに残されていた血痕などの痕跡が、26年目の犯人逮捕の決め手になったという。
奇跡のような展開ですが、悟さんの高校時代の同級生であった安福久美子が奈美子さんを殺害したことは本人も認めている、結果は明白すぎる事件です。しかし、捜査が進むにつれ犯人が語る動機に理解しがたい不審な点が出てきたとして、精神鑑定にかけることも視野に入れて、起訴するかどうかは保留状態になっているという。
この検察の判断も異常すぎませんか。
安福久美子は高校時代に悟さんに一方的に恋愛感情を抱き、悟さんに2度もバレンタインチョコを渡したという。つまり久美子容疑者は、2年以上に渡って悟さんへの片思いを持ち続けてきたということです。この間、悟さんは久美子の片思いには全く応えず、無視。ところが久美子容疑差は高校卒業後も悟さんの大学にまで出向き、悟さんの追っかけを続けていたという。
大学にまでやってくる久美子容疑者に、ついに悟さんも付きまとうのは止めてほしいと申し入れたという。久美子容疑者は、悟さんには全く相手にされないにもかかわらず、少なくとも3年ほど、あるいはそれ以上もの間、悟さんへの一方的な思いを募らせていたということです。
後に久美子容疑者は、結婚して子どもできたようですが、全く満たされぬまま偏執的なほどに思いを募らせた相手(悟さん)に偶然再会した場合、その思いが一気に再燃するであろうことは誰もが容易に想像できるはず。二人は同窓会で再会したそうですが、結婚して子供も誕生したという悟さんは、おそらく久美子容疑者には非常に幸せそうに見えたはず。
久美子容疑者は、自分には全く見向きもせずに、幸せそうな家庭を築いている悟さんを許せないと思ったのではないか。偏執的に思いを募らせたものの悟さんに振られた久美子容疑者は、悟さんの幸せそうな家庭を破壊してやりたいとの衝動にかられたのではないか。その破壊の対象は悟さんご本人ではなく、悟さんが愛してやまない奥様の奈美子さんであったのはある意味当然で、久美子容疑者のこの選択には謎はないはずです。
久美子容疑者の当初の供述も、こうした一般的にも容易に類推できる話になっていたように思いますが、なぜ突如、子育て云々に話が逸れ、起訴を躊躇するほどの事態になったのかは全く理解不能。
2000万円もの家賃を払い続けてきた悟さんの並外れた奥様への愛と事件解決に半生をかけてきたご主人悟氏の思いに十二分に応えることこそが、警察や検察の使命ではありませんか。犯人の安福久美子を守ることを優先すべきではありません。
検察は多数の冤罪事件を創り出す一方、真犯人を免罪する理由を探し出そうとする国家犯罪を犯そうとしているのではありませんか。
高市総理は再審法の改悪に手を貸すな!
という現在進行形の事件もあり、検察への不信は募るばかりですが、前号維新の独裁志向と自民の倫理崩壊「7.再審制度と農政 鈴木貴子氏の国会質疑」で取り上げた再審制度見直しに関する記事で、修正する必要が出てきましたので、簡単に修正いたします。
前号では、国会議員有志が作成した議連による再審法見直し案には高市総理も賛成しているかのように誤解していましたが、何と、高市総理も検察の意向が最優先された法制審議会による改悪案を推進する立場であることを、西日本新聞で知ってビックリ仰天、衝撃を受けています。
再審見直し、法制審に偏重? 高市政権、超党派議連に見向きせず
証拠開示〝後退〟に学者ら批判
2025/12/3 西日本新聞
高市総理は、法制審の改悪案に本気で賛成なさるおつもりですか。数々の冤罪事件で暴露された検察の信じがたい、冤罪捏造の事実を高市総理は確認したことはないのですか。この事実を知ったならば、検察が検察を守るために進めている再審改悪法案に賛成するという異常な選択はできないはず。
山上被告裁判で見せた、奈良の検察の異常さにも、地元出身の政治家であり、日本国の法の正義を守る責任もある総理大臣ならば、注意を払うべきだと思います。あるいは、高市総理は奈良の検察の法の正義の逸脱をも了解しているのでしょうか。
ここまで見てきただけでも、高市総理、高市政権を評価すべき政策はほぼ皆無に近い。女性総理ゆえに大きな期待を抱いてきましたが、ことごとく期待が裏切られています。
米高騰問題でもお米券配布(農協が発行!)というお粗末さ。農政のお粗末さに加えて、経済対策としてもお粗末すぎますよ。福岡では県も福岡市も北九州市もお米券は無駄金を使わざるをえないので配布しないとのこと。お米券を配布しない自治体は他にも多数。これほど明白にノーを突きつけられた経済対策は後にも先にも例はないのではないか。
これほど無策でも高支持率が続くのは、これまでの政権が悪すぎたからか。女性総理ゆえなのか。確かに高市総理の写真は、衣装センスが光って強烈に目に留まります。高市総理はファッションセンスはなかなかのものだと思います。これまでは、少なくともわたしの目には、女性政治家の服装に目が留まった記憶はありませんが、高市氏はオンナ総理の特権で衣装で人目を引いているのかもしれません。
しかし、政治のトップに必要なのはファッションセンスではなく、政策力であり政治の運営能力ですよ。これまでのところはいずれもかなり低い。しかもとっかえひっかえ身に着けているそれらの衣装が、違法な献金を使って購入されているのであれば、もうオンナ総理はいらないという気分になりますね。
6.侵略者ロシアにはペナルティを
トランプ大統領はウクライナ戦争の和平に熱心ですが、ロシアが武力で奪い取ったウクライナの領土をロシアに献呈させることが大前提になっており、トランプ大統領はまさにプーチン大統領の代理人にまで成り下がっています。
わたしは、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談する直前の11月22日に以下のようなX投稿をしました。
完全にプーチンの下僕に成り下がったトランプ大統領はウクライナに対して、ロシアの侵略を全て受け入れることを要求。汚職まみれのウクライナとはいえ、ロシアのイヌの要求は拒否すべき。
— 久本福子 (@ashishobo) November 22, 2025
この投稿後に、アメリカの和平提案はロシアが作成したものであることが判明しました。もう無茶苦茶。その後、一部手直しされたものの、ウクライナ領土をロシアに献呈するという絶対条件には変更なし。独裁者が好きなトランプ大統領とはいえ、なぜここまでプーチンへの奉仕を続けるのか。理解不能。ロシアに何か弱みを握られているのでは?との邪推をしたくなるほどです。
ウクライナの政権首脳による汚職まみれにもあきれ果てています。ロシアによって自国領土が奪われ破壊され、大勢の自国兵士のみならず、大勢の民間人も殺害され続けているさ中、よくも 自分の懐を肥やすことができるものだと、その恥知らずぶりには言葉も出てこない。
汚職まみれの政治家は辞任するだけではなく、奪った巨額の金を全額国に返すべきです。ウクライナを支援している国々は日本も含めて、苦しい財政を工面して支援しているのですよ。汚職政治家を潤すためではありません。ロシアの侵略から自由主義体制を守るためにです。
こうした状態が続けば、ウクライナの政治家は心底腐りきってるのかと思われてしまって、仮に戦争が終わっても復興支援には躊躇せざるをえなくなるはず。

