前号山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのかと一体化した内容ですが、山上被告をテロリストとして非難する、窪田順生氏批判として書いたものです。余りにも長くなりすぎましたので、単独で公開することにしました。(画像はJIJI.COM。画像編集はCanva)
<6.「週刊文春」統一教会の㊙報告書をめぐって 1/12 > ↓
目次
0.窪田氏の山上被告批判
本号は以下のような書き出しで、前号山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのかに追記するつもりだったのですが、かなり長くなりましたので単独ブログとして公開しました。しかし内容的には前号と一体化しておりますので、前号未読の方はぜひとも前号をご覧いただきたいと思います。
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本号「山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのか」は昨年末に更新しましたが、内容が余りにも禍々しく、更新のお知らせは三が日が過ぎてからにしようと思っていました。ところが新年早々、窪田順生氏の以下のような記事を目にしてかなりのショックを受けております。記事の内容は、一言でいえば、山上被告のテロを許すな!という非常に底の浅い山上批判です。
安倍元首相殺害犯の“悲惨な生い立ち”に同情する人が続出…それでも絶対に「減刑」してはいけないワケ
窪田順生: ノンフィクションライター
2026年1月1日 9:00 ダイヤモンドオンライン
窪田氏は、山上裁判の審理が終わった直後の1月1日付けで公開された上記記事で、「安倍元首相銃撃事件の初公判が進むにつれ、山上徹也被告に対する同情の声が再燃し」減刑を求める声が強まっていることに危機感を覚え、「同情する心情は理解できなくもないが、」「これを認めてしまったら日本が『テロ天国」になって収拾がつかないから」減刑には反対だとして、山上被告のテロを許すなとの批判記事を書いています。
事件直後にも様々なメディアを通して、山上被告の母親が統一教会に1億円以上もの献金をしたことで山上家が家庭崩壊に至ったことが多数報道されていましたが、裁判では、巨額の献金を収奪しつづけてきた統一教会によって、山上被告と一家がいかに悲惨な状況に置かれていたかが、山上被告自身や、その体験を初めて語った妹さんなどの当事者の生の声で明らかにされました。当事者自身による生の証言による衝撃は大きく、日本中を震撼させたはずです。
その結果、改めて統一教会の非人道性への怒りとともに、山上被告への同情や支持や減刑を求める声も大きくなってきました。窪田氏はこの動きに危機感を覚え、山上被告の行為をテロとして厳しく批判したわけです。山上被告への同情や支持がなぜ危険なのか、窪田氏は次のように述べています。
具体的に言うと、自分は「社会的弱者だ」「不遇の人生を送ってきた」という恵まれない境遇の人が、この不幸をつくった原因だと考える政治家、官僚、有名人などの命を奪うことに「一定の正義」を与えてしまう。それによって、「第二、第三の山上徹也」が量産されてしまうのである。
なぜそんな未来が予想できるのかというと、世界の法治国家が「テロを助長するので、こういう愚かなことは絶対にやめましょうね」という取り組みと、180度真逆のことを日本はやってしまったからだ。
世界では当たり前の取り組みというのが「テロリストに名を与えない」ということだ。
安倍元首相殺害犯の“悲惨な生い立ち”に同情する人が続出…それでも絶対に「減刑」してはいけないワケ
山上被告を英雄視する(テロリストに名を与える)ことは、不遇感を抱える人々に山上被告と同様の行動を促すことになり、そうなれば日本は「テロ天国」になると、窪田氏は憂えています。
この窪田氏の批判には、プロのノンフィクションライターとは思えぬ粗雑さと論理の飛躍がありますが、以下、具体的に検証します。
1.山上被告はテロリストではない
窪田氏は山上被告をテロリストと定義していますが、その根拠は「警察庁組織令第四十条で「テロリズム」というのは「広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう」という法律に依拠したものだという。
加えて山上被告が法廷で語った言葉は、「どう見ても『テロリスト』と言わざるを得ない」ものであったという。その言葉とは。
《「安倍氏への怒りはなかった」「(報道されれば)その方が旧統一教会に打撃を与える意味はある」「(事件は)少なくとも私や旧統一教会被害者にとってはよかった」といった被告の供述を引き出した》
(12月25日 産経新聞 https://www.sankei.com/article/20251215-LTHAHIKBHROLRIW2CXPLL4GLIU/)
上記出典記事は以前わたしも読んでおりますが、現在は上記リンク先には何らかの事情で削除されたのか。記事は掲載されていません。
以前に読んだ記憶では、検察から事件が社会に及ぼした影響に問われて答えたものだった思いますが、社会に与えた衝撃の大きさや、刑務所に600万円超もの巨額の差し入れがなされるほどの反響の大きさを日々感じざるをえない山上被告にとっては、上記のような答え方以外に答えようはなかったのではないかと思います。
特に600万円超もの支援金は、同じような被害に苦しめられてきた信者家族などから届けられたものも含まれていたたはず。つまり、統一教会に鉄槌を下してくれた山上被告への感謝や共感や強い賛同の思いが多数寄せられたものと思われます。
大勢の見知らぬ人々の恨みまで晴らす結果になったことは、山上被告は犯行前まではほとんど想定しなかったと思われますが、統一教会総裁の代理として安倍元総理を襲撃したことが自分の個人的恨みを晴らしただけではく、似たような境遇の人々にとっても恨みを晴らすことになったことを直接伝えられたことから、その思いが言葉になったのだと思われます。
また、統一教会の被害者ではないものの、悪辣な統一教会と癒着し、その詐欺的手法による信者からの資産収奪を黙認してきた安倍元総理を銃撃した山上被告を、まさにテロリストのごとく英雄視して、勇気ある正義の実行者として称賛する言葉を添えて多額の支援金を送った一般人(統一教会とは無縁という意味)も多かったはず。
しかし、山上被告はこうした自分に寄せられる過大な評価を素直に受け入れることができずに、複雑な思いを抱いていたことも、裁判終盤で以下のように吐露しています。
勾留中の山上被告への現金差し入れ600万円超か、被害弁償はまだ「返すことになるかも」
2025/12/3 17:14 産経新聞
検察から600万円超の差し入れの使途について聞かれた場面ですが、山上被告は、次のように答えています。
(*600万円の差し入れが、)「自分に対して、どのような意図で送っているのか分からない。(裁判を通じて差し入れた人たちの)自分のイメージが大きく変わるかもしれないので、考えていたのと全く違う人間であれば、その方たちに返すべきかと思っています」
山上被告のこの意外な言葉からは、まさにテロリストさながらに山上被告を称え、英雄視して巨額のお金が差し入れた人々が大勢いたことが推測されます。山上被告は、外部で造形される山上徹也像と、純粋に個人的な恨みを晴らしただけだという自分の実際の姿との大きな乖離に戸惑い、困惑していたことは明らかです。
昭恵夫人が傍聴中には謝罪の言葉を一言も口にしなかった山上被告が、裁判終盤で安倍元総理を銃撃したことへの反省や謝罪の言葉を口にしたのは、誤解に基づいて巨額のお金を差し入れてまで自分を支援してくれる人々への心情吐露でもあったはずです。(*600万円の差し入れに関しては別途取り上げますので、ここではこの文脈に関わる範囲で言及しています。)
にもかかわらず窪田氏は、この山上被告の法廷での陳述は、彼がテロリストであることを証明していると主張しています。しかし窪田氏の主張は、彼自身が根拠としているテロを定義する法律にも合致していません。
テロの法的な定義は「広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう」となっていますが、この条文の文意を詳しく検証します。
「広く恐怖又は不安を抱かせる」の主語はテロ犯ですが、「抱かせる」という使役表現の対象(目的語)は。不特定多数の人々、すなわち広く社会を指しています。いわゆるイスラム過激派のテロは、明らかにこの定義に完璧に合致します。
しかし山上被告の安倍元総理の襲撃事件は、イスラム過激派のテロ行為とは明らかにその様相を異にしています。彼は広く社会に「恐怖又は不安を抱かせる」ことを狙って襲撃を企てたのではなく、あくまでも彼個人の恨みとそれ以上に深い山上家の積年の恨みを晴らすという、あくまでも個人的な動機に発したものであることは、おそらく窪田氏や検察以外の日本中がほとんど理解しているはずです。
結果として、安倍元総理という超大物政治家が銃撃されるという前例のない事件の特異さから、広く社会に衝撃を与えたのは事実であるにせよ、この事件が、広く日本社会に「恐怖又は不安を抱かせた」のかといえば、そういう現象は起こっていません。むしろ逆の結果をもたらしたことは、事件後の日本社会の変化となって表れています。
統一教会批判に対する長年のタブーが一気に吹き飛ばされて、部分的にせよ、日本社会や言論空間の風通しがよくなったとさえ思います。
イスラム過激派のテロのように、山上被告の犯行が日本社会に「恐怖又は不安を抱かせた」というのであれば、窪田氏はその事実をお示しいただきたい。
統一教会と緊密な関係のある政治家には多少の不安を与えたことはゼロではないにしても、統一教会とは無縁の圧倒的多数の日本国民にとっては、「恐怖又は不安を抱」くどころか、統一教会に対して怒りを感じ、この教団を利用してきた政治家には、それ以上の怒りを覚えたというのが事実ではないですか。
何よりも、堂々と統一教会を批判することが可能になったことは、日本の言論空間の抑圧装置の一つが消えたような効果をもたらしています。
鈴木エイト氏のお名前もその結果初めてわれわれの目に触れることになりましたし、マスコミが完全に沈黙を続ける中で、鈴木氏はたった一人で統一教会の動向を追い続けてきたという、孤独な活動を続けてこられたことも、事件後初めて世に広く知られるようになりました。
マスコミの沈黙といえば、読売テレビが統一教会の信者をタダでスタッフとして使い続けてきたことも、事件後暴露されました。この驚くべき癒着は、事件後統一教会側がバラしたことで明るみ出たものでしたが、自民党の議員が選挙の時などは、タダで統一教会の信者の支援を受けていることを日常的に目にしている報道機関が、政治家がタダで統一教会の支援を受けても何ら問題でないのであれば、わが社も使おうということになったのだろうと思います。どちらかといえば、他党よりもより自民党に近い読売グループゆえに、抵抗感もさほどなかったことも自民党に倣えとなって、統一教会とも仲良くしていたのかもしれません。
事件後は、読売新聞なども統一教会に対しては厳しい姿勢で報道しているようですが、報道機関が統一教会と癒着するとは、想像を絶する事態です。ここまでの癒着は、他に例はないとはいえ、統一教会の悪事を全く報道してこなかった点では他の報道機関も統一教会タブーでは歩調を合わせてきたわけです。
山上被告による安倍元総理の銃撃事件は、この統一教会タブーを一気に粉砕しまし、日本には今なお、統一教会による被害者が大勢いることを明らかにしましたた。これだけは誰にも否定できない事実です。
ただし山上被告は自分の犯行が、これほどまで大きな影響を日本社会に与えることになろうとは想像もしていなかったはずです。彼は、あくまでも自分と自分の家族の個人的な恨みを晴らしたい、その一点で犯行に及んだわけです。もちろん山上被告も、安倍元総理という超大物政治家を銃撃した場合、大事件として大きな反響を呼ぶであろうことは十二分に想定していたはずですが、それはあくまでも漠然としたものだったはず。
山上被告は、裁判終盤で昭恵夫人が出廷したこともあり、安倍家の遺族に対する思いを問われると、夫人出廷中には口にはしなかったものの、申し訳ないことをしたと繰り返し謝罪の言葉を述べています。
山上被告は、窪田氏がマスコミが報道しない真実を報道しているとして紹介している、弁護士ジャーナリストの楊井人文氏の《【検証 安倍元首相殺害事件】メディアが報じていないファクト 山上被告、自身の報道で「不正確なものも」》によると、安倍元首相と統一教会に関する情報源については以下のようにこたえたという。
ジャーナリスト・鈴木エイト氏が投稿していたウェブサイト「やや日刊カルト新聞」の統一教会に関する記事をほとんど読んで、安倍元首相と統一教会の関係に関する情報を得ていた(11月25日被告人質問)。
鈴木エイト氏のサイトの統一教会関連記事をほぼ読んでいたそうですので、三代にもわたる安倍元総理と統一教会との強い結びつきについては重々承知していたはずです。しかし事件から3年余り経つ中で、本命の韓鶴子総裁を狙うべきところを、代理として安倍元総理を襲撃したことについては、彼の中に悔いる思いが生まれてきたのも事実だろうと思います。
また、先に述べたように、600万円超もの差し入れれがなされるほどに、英雄視され美化されている自分への誤解を解きたいという気持ちもあったのだろうと思います。自分はそんな立派な政治的な志をもって犯行に及んだのではないとの思いの表出です。彼が、昭恵夫人の前では一言も謝罪の言葉を口にしなかったことも、おそらくそれゆえではなかったかと思われます。
しかし第三者として論評するならば、統一教会は巨額資産の収奪という日本での活動がなくなれば、あるいはその集金力が弱体化すれば、統一教会の活動資金の供給元がなくなるわけですので、韓総裁がご存命でも統一教会の活動も弱まるはずです。つまり統一教会への最も強力な打撃は、日本での統一教会の支持基盤が弱体化する方法を考え、実行することだと思います。
もし仮に、韓総裁が標的になって命を落とされるような事態になったとしても、逆に日本の信者たちは亡き総裁を弔うために、そして日本人が総裁を殺害したことへの贖罪のために、自ら血の一滴まで絞り出してでも統一教会への奉仕に励むはずです。
しかし現実は逆方向に向いました。
統一教会は世界中に広く活動を拡げていますが、主な資金供給源は日本の信者からの巨額の献金収奪によるものであり、日本信者たちの滅私奉公的な活動によって支えられてきました。それが可能であったのは、日本では政府の中枢が統一教会を支援してきたからです。日本では、統一教会がオカルトに指定されたこともなければ、論議の対象にすらなったことはありません。
日本は政府が機能している法治国家であるにもかかわらず、統一教会に関しては、被害者自身が強硬手段を使ってその被害の過酷さを訴える以外に社会に広く訴える道はなかったかったことに、われわれ日本国民はこの襲撃事件で初めて気づかされました。
つまり、日本社会を統一教会の詐欺天国にしてきたのは日本政府であり、長年政権を握ってきた自民党であり、自民党の中でももっとも統一教会との繋がりが親密であった安倍元総理であったことと、その事実を長年にわたって隠蔽してきた日本のマスコミであることを、われわれは今一度、しかと認識すべきです。
この厳然たる事実を無視して、山上被告の行為をテロと呼び批判する窪田氏は、統一教会の被害者は、その被害を社会に広く訴えたいという大望は抱かずに、ひっそりと被害を甘受せよと要求しているに等しいわけですが、窪田氏にはその自覚はなさそうです。
窪田氏は、安倍氏と統一教会との関係を極小化
裁判では、確かに山上被告は安倍元総理と統一教会との関係については、余り強くは語っていません。だからといって、山上被告は両者の関係は、検察が主張するように、ビデオメッセージを送ったのも儀礼的なものであり、関係は非常に薄いと考えていたわけではないと思います。
妹さんも、被告が安倍元総理を襲撃したことは不思議ではないと証言しています。
(*妹は)事件で安倍氏が被害者になったことについては「不思議ではなかった」と証言。信者だった母方の叔母から、安倍氏が令和3年9月に友好団体に寄せたビデオメッセージ(*今回問題になっているメッセージ以前にも関連団体に送った安倍氏のメッセージ)が送られてきたり、選挙で自民党に投票するよういわれたりしていたといい、安倍氏と教団との間に一定のつながりがあることは認識していたとした。
(母の皮をかぶった信者」に壊された家庭 山上被告の妹が証言「復讐できるなら…2025/11/19 産経新聞)
つまり、山上被告が問題のビデオメッセージを見る以前から、安倍氏が統一教会の友好団体に寄せたビデオメッセージが送られてきたり、選挙の依頼があったりして、山上家では両者の繋がりについては既知のこととして認識されいたことが明らかにされています。
さらに妹さんは、自分自身も可能であれば、復讐していたかもしれないとまで、上記記事で以下のように証言しています。
「(教団に)復讐(ふくしゅう)できるならしていたかもしれない」と証言した。
つまり、母親以外の山上家で存命しているたった二人の兄妹が揃って、統一教会への復讐心を抱かざるをえないほどの環境に置かれていたということです。
これをテロだといえるのでしょうか。
しかし、山上被告は法廷では、安倍元総理の責任については強く指弾するような言葉は発していません。
山上被告は、長年にわたって統一教会の問題を追い続けてきた鈴木氏のサイトをほとんど読んで統一教会と安倍元総理との関係についての情報も得たということなので、両者の関係についてはかなり深いところまで把握していたはずです。しかし法廷ではほとんど語らなかった。なぜなのか。
この裁判を通じて、山上被告は、自らは罪を軽くしたいということはほとんど考えていないように、わたしは感じています。もし法廷で統一教会と安倍元総理との関係を語ったならば、必ずそう判断した根拠が問われます。その際、鈴木エイト氏のサイトから得た情報だといえば、検察からは、その真偽の確認をめぐっての追及は不可避となり、鈴木エイト氏にも迷惑がかかることは必至です。それは絶対に避けたいというのが山上被告の思いだったはず。
また検察から、安倍元総理と統一教会との関係についての認識を問われた山上被告が「どこまでの支持か分からない」と答えたのも、以上のような配慮によるものだったはず。山上被告は安倍元総理が統一教会の信者とは考えてなかったはずですし、鈴木エイト氏もそんなことはどこにも書いていないはずし、安倍氏が統一教会の信者だという報道は皆無です。こうした一般的な認識も踏まえての答えだったと思われます。
しかし安倍元総理は統一教会の信者ではないものの、非常に強力に統一教会を支持していたことは、紛れもない事実です。
わたしのブログ「山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのか」と「彼を凶行に追いやったもの」に書いておりますが、山上被告を犯行へと促した、韓鶴子総裁に送った安倍元総理のビデオメッセージに対して、全国霊感商法対策弁護士連絡会は安倍元総理に抗議文を送ったそうですが、安倍元総理からは受け取りを拒否されたという。
弁護士連絡会が信者や元信者の被害救済に取り組んでいることは、安倍元総理も重々承知していたことは受け取りを拒否したことからも明らかですが、受け取りを拒否したということは、安倍元総理は、教団の生贄となった被害者を救済すべきだとは毛頭考えていなかっただけではなく、弁護士連絡会は、統一教会の活動(献金収奪)を妨害する敵だと考えていたとさえ考えざるをえません。
統一教会によって重大な被害を受けている国民が大勢いるというのに、その事実を知ろうともせず、救済活動をする弁護士連絡会を敵視する安倍元総理。抗議文の受け取り拒否は並みの行為ではなく、非常に強い反感の表れであることは明らかです。
にもかかわらず、窪田氏は安倍氏が別の宗教団体の信者であるとして、安倍氏と統一教会との関係は、検察の主張通り「儀礼的」なものだと判断しています。彼はノンフィクションライターでありながら、事実を直視していません。
つい最近、以下のような報道も流れています。
旧統一教会、衆院選で「自民290人応援」 元会長報告、韓国報道
朝日新聞 貝瀬秋彦=ソウル 高島曜介2025年12月30日 22時30分
具体的で生々しい内容からして、とても嘘八百だとは思えません。そもそも、数はこの報告よりは少ないとはいえ、事件後自民党では、大勢の議員が統一教会と繋がりのあったことを自ら認めています。その中心にいたのは安倍元総理であったことも周知の事実です。
これを書いている最中に、さらに驚愕のニュースが飛び込んできました。上記の韓国紙が報道したニュースの情報源である元会長報告を「週刊文春」が全文入手して報じた、以下のスクープ記事です。有料ですので無料で読めるのはさわり部分だけですが、それでも衝撃的な内容です。
「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願い」統一教会“マル秘報告書”3200ページに記された自民党との蜜月【独占入手】
石井 謙一郎 「週刊文春」編集部2026/01/10 source : 週刊文春 2026年1月15日号
「安倍首相が我々に応援要請」「安倍首相がお母様にひれ伏して拝するように」統一教会・内部文書に記されていた“政界工作”の衝撃内容【独占入手】
石井 謙一郎 「週刊文春」編集部2026/01/10 source : 週刊文春 2026年1月15日号
タイトルだけでも衝撃的すぎますが、元会長報告書には多少の誇張はあったにせよ、高市氏も安倍氏も統一教会と非常に濃厚な関係にあったことは、誰にも否定できないほどに明白すぎる事実です。高市氏が突然、国会冒頭解散を言い出したのも、このスクープ記事が原因であるのは明らか。有権者は、この事実から目をそらさずに直視すべきです。
2.600万円超の差し入れ金
すでにご紹介済みですが、山上被告には下記の記事にあるように600万円超の支援金が差し入れられています。この巨額の差し入れは、統一教会によって人生を破壊された山上被告への同情もあったかと思いますが、その大半は、被告の犯行が単に個人的な恨みを晴らしただけではなく、長年タブー視されてきた統一教会の悪事を暴くとともに、安倍総理を筆頭にした大勢の自民党議員が統一教会と癒着していたことをも暴いたという、社会的意義を高く評価した結果だと思われます。
ここであらためて指摘しておきますが、日本政治の中枢と統一教会との癒着が暴露されたのは、安倍元総理が襲撃された結果によるものです。もしも韓総裁が襲撃されていたならば、日本の政治の中枢と統一教会との癒着は、本事件のように激烈な形で暴露されることはなかったはずです。むしろ、ほとんど暴露されずに終わった可能性の方が高かったと思います。
この基本を踏まえて上で、この600万円の差し入れをめぐる検察の質問をとおして、検察の統一教会寄りの偏向ぶりを明らかにしたいと思います。
裁判で、山上被告に600万円超もの差し入れが届いていることを明らかにしたのは検察でしたが、この事実を明らかにしたのは、裁判審理上、非常に意義があったと思いますし、この事件についての新たな事実としても非常に意義があると思います。
一般的に言って、社会的にかなり大きな反響を呼んだ殺人事件で、その犯人に対して、見知らぬ人々から差し入れ金が届きということはまずありえないはず。ましてや600万円超という巨額の差し入れ金が届くということは前代未聞でしょう。世界的に見ても、他に例はないはずです。
ということは、山上被告の犯行に対しては、世界的に見ても例のないほどの共感、支持、支援、感謝等々の思いが、見も知らぬ大勢の人々から山上被告に届けられたことを意味しています。
テロの定義にある「不安や恐怖」とは全く真逆の思いが、山上被告の許に巨額の支援金とともに届けられたということです。
しかし検察は、山上被告がこれほど巨額の支援金を受け取っていながら、彼の犯行によって生じた支払いや被害を受けた人への支払いをしていない事実を明らかにするとともに、なぜ支払わないのかと問いただしています。
昭恵さんの前で口を開いた山上被告、安倍氏襲撃は「本筋ではなかった」 被告人質問詳報
2025/12/4 産経新聞
勾留中の山上被告への現金差し入れ600万円超か、被害弁償はまだ「返すことになるかも
2025/12/3 17:14 産経新聞
この検察の問いに対しては、山上被告は、すでにご紹介したように、自分を誤解して支援金を差し入れた人もいると思うので、そういう人たちには支援金を返金する必要があるからと答えています。
山上被告のこの答えに対して検察は「妹には100万円を送ったね」と問い返しています。上記記事では省略されていますが、この100万円は妹さんへの結婚祝金でした。この裁判でのやり取りは、山上兄妹に次のような後悔の念を惹起させる結果になったという。。
妹からは「私が受け取ることで迷惑をかけてしまった」と即日弁護人のもとに電話があったという。山上被告は「すべきではなかった」とその行動を悔いていた。
2025.12.07 NEWSポストセブン
《山上徹也被告に差し入れられた“600万円超”の行方》出廷した昭恵夫人はまっすぐ前を見て…被告人が初めて口にした“謝罪”「安倍さんの家族には何の恨みもない」
統一教会に家庭を破壊されて悲惨な環境で暮らさざるをえなかった妹さんが、元総理大臣を銃撃するという兄の凶行によって、日本中に衝撃が走ったその渦中に結婚することになったという朗報は、山上被告にとっては何にも代えがたい非常な喜びをもたらしたであろうことは言うまでもないでしょう。
自分の死亡保険金で、暮らしに窮している兄や妹を救うために自殺を図ったほど兄妹思いの山上被告にとっては、自分の凶行の後にもかかわらず、妹と結婚してくれる相手がいたことには心底救われたはずです。その思いを、届いた支援金の中から一部をお祝いとして送ったことには、世界中誰も非難しようとは思わないと断言します。むしろ喜びを共にして大喝采を送るはずです。
しかし検察の質問は、山上被告と妹さんに激しく悔いる思いを強いる結果になっています。検察は統一教会の責任は問わないことを基本方針にしていますので、前日に試射して壁を損壊させた統一教会からの修繕費用も払っていないことまで明らかにし、山上被告に対して、払うべきものを払っていないという文脈の中でその責任を問うています。
検察はこうした文脈の中で、山上被告が妹にだけに100万円を送ったことを明らかにすることで、兄と妹に恥をかかせ、悔いる言葉を吐かせることに成功したわけです。何という残酷な仕打ちでしょうか。
また統一教会のビルの試射による損傷を山上被告に弁償させるのであれば、なぜ統一教会奈良支部は損壊を受けたことをすぐに警察に届けなかったのか。検察はまず、このことをこそ明らかにすべきだったのではないですか。国民の多くが感じている大疑問です。
山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのか
でも書きましたように、もしもすぐにも被害が届けられていたならば、犯人特定にはさほど時間はかからずに山上被告は逮捕され、安倍元総理を銃撃することも防げてはずです。しかし奈良支部は被害は届け出ずに、壁の修繕費用だけを山上被告に請求する不可解さ。その不可解さを無条件で受け入れている検察はさらに不可解です。
統一教会による信者からの資産の収奪は、マスコミが全く報道しなくなってから20年以上は経つはずですが、この間も被害が続いており、大勢の被害者は裁判所に被害救済を訴えていたことも今回の襲撃事件で初めて明らかになりました。裁判に訴えてもマスコミが全く報道しないので、被害者の被害は全く社会に知られることなく、政府による規制もなく、被害者はひっそりと孤独な闘いを強いられてきました。山上被告の元総理襲撃がなければ、彼ら被害者の存在は、弁護士と裁判所以外には知られることはなかったわけです。
統一教会と日本の政治的中枢との繋がりを完全に断つことができるならば、統一教会の威力は減退するはずです。その意味では安倍元総理襲撃によって、統一教会並びに統一教会と癒着した自民党批判として噴出した社会的反響は、統一協会にとってはおそらく山上被告が考えた以上の打撃となっているはずです。
統一教会にとっても、事件直後には、安倍元総理襲撃事件が、これほど激しい統一教会批判へと展開するとは想定もしていなかったと思われます。事件以前には、統一教会に対して、第一審であれ解散命令が出されることになろうとは、統一教会はもとより、自民党も、そして日本中が誰も想像すらしていなかったはずです。これは、山上被告による安倍元総理襲撃事件がもたらした劇的な変化です。
もちろん、1月21日の山上裁判の結果も含めて、今後の裁判の結果によっては逆転現象も起こりえますが、一国民として考えるならば、山上被告は激しく悔いて自分を責め立てる必要はないと思います。
3.伯父山上東一郎氏と山上被告
窪田氏は、山上被告の犯行動機の核心である統一教会による献金収奪による被害を小さく見せようとしています。もちろん、山上被告の犯行の悪質さを強調するためにです。
安倍元首相殺害犯の“悲惨な生い立ち”に同情する人が続出…それでも絶対に「減刑」してはいけないワケ
窪田順生: ノンフィクションライター
2026年1月1日 9:00 ダイヤモンドオンライン
窪田氏の山上被告批判の上記の記事は、見出しに「『悲惨な生い立ち』を報じるメディアの罪」とあるように、山上被告の犯行の動機である、統一教会によって資産を収奪されて悲惨な暮らしを強いられてきたことへの報復であるという、事件の核心部分を否定することに主眼が置かれています。つまりは、窪田氏の山上被告批判は、統一教会による献金収奪は騒がれているほど悪質なものではないとの、統一教会擁護に近いとさえいえるものです。
窪田氏の文章を逐一、具体的に批判しようかと思いましたが、それだけでさらに長くなりますし、徒労感を覚えるだけですので、窪田氏の批判に対置する形でこの事件の深層に深くかかわる山上家の事情について書くことにします。
書くにあたって一言つけ加えると、裁判では、窪田氏が指摘するように、マスコミで報じられたような悲惨な家庭事情は余り多くは明らかにはされていません。弁護士は被告にお金がないので国選弁護士だったのかとも思いますが、弁護側の立証がかなり弱いような印象です。
裁判だけではこの事件の深層には近づけないと思いますので、最も身近で父親なき後、長年にわたって山上被告をはじめ山上家を経済的にもサポート続けてきた元弁護士であった伯父の話を中心に、この事件の深層を探ることにします。
山上被告の伯父は、法人法務の弁護士事務所を経営していたそうですが、山上被告を含め弟の遺児たちや山上家を長らく物心両面で支援してきた方でもあります。以下の記事には、伯父の元弁護士としての深い哲学的な法の根本義が語られています。
山上徹也被告の伯父単独インタビュー 安倍元首相襲撃事件があぶり出した社会の課題
2024/07/09/ 11:00 AERA
上記記事から一部引用します。
「判決とは事件に対する『評価』です。『目には目を』という報復的な発想にならず、事件の意義にまで踏み込んだ評価でなければならないと考えています。
評価とは、つまり量刑です。日本の刑法では被害者1人に対する殺人罪の刑罰は懲役20年から30年です。やむを得ない事情があった場合の緊急避難や正当防衛が成立すれば無罪もあり得ます。
事件によって、旧統一教会の反社会性が世間に認知されました。安倍氏がその関連団体にエールを送っていたという事実は許されざるものです。安倍氏以外にも多くの国会議員がこの反社会団体とタッグマッチの関係にあったことも明らかになりました。安倍氏は何の落ち度もない被害者とは言い難く、その点は斟酌すべきだと思います。」
「 量刑は『予見または予見できる事実』を起こしたことによって決まります。ですが、今回のように、これほどまでに広い範囲に影響を及ぼした事件については、その社会的意義も争点になると考えています。」
弁護人の弁護方針は、情状弁論だと聞いています。これは、裁判員の心情にひたすら訴える弁論が展開されるものです。甥の徹也が旧統一教会によって壮絶な人生を送らされたことを強調し、その被害感情が旧統一教会にビデオメッセージを送っていた安倍元首相に向けられた結果、事件が起きた。だから、心情的に酌むべき点があるという弁論です。
ですが、その手法では、この事件の社会的意義にまでは踏み込めないと感じています。ただの『お涙ちょうだい物語』で終わらせてはいけません。
そう思うからこそ、初公判前に弁護団が度々記者会見をして、徹也の言動をポロポロと話していることには疑問を感じています。一番まずいなと思ったのは、徹也が『拘置所内で刑事訴訟法の本を読んでいる』という情報が出たことです。いったい誰の指示なのか。裁判員に自己弁護に走っているという印象を与えてしまい、事件の意義を検証するどころではなくなってしまうでしょう。世間の耳目を集めるためのパフォーマンスばかりの弁護方針は、徹也が納得していることなのか、と心配しています。
これほど高い見識を持っている上に、弟亡きあとも延々と山上家を支援してきた伯父が被告の証人として出廷していたならば、裁判の行方にもかなり影響を与えたのではないかと思われますが、弁護側は、伯父の影響を排除するために証人としては呼ばなかった模様。伯父は自分には声がかからなかったと語っています。
しかし、「初公判前に弁護団が度々記者会見をして、徹也の言動をポロポロと話して」いたとは、驚愕を通り越して唖然としますね。それらのニュースは多分、その情報入手状況には全く注意を払わずにわたし自身の耳目にも届いていたはずですが、情報入手状況を知ると弁護士選定そのものに疑問を感じざるをえません。公判前に被告に関する情報を弁護士が記者会見を開いて逐一報告するとは、おそらく他に例はないのでは。裁判に影響を与えることが不可避な情報漏洩を弁護士自らが行うとは!
ただこの弁護団で唯一評価できるのは、母親が山上被告など子どもらには、統一教会に献金したことを隠していたことを法廷の場で明らかにしたことです。この点を除いては、わたしは漠然とした印象で、弁護士には必死で山上被告の弁護をしようという姿勢が感じられないと思っていました。
想像するだに恐怖ですが、山上被告の裁判は弁護士選定の段階から、工作めいたものが仕掛けられていたのではとすら考えてしまいます。言うまでもなく、検察の思惑どおりに裁判を進めるための弁護士選定です。無実を証明する証拠を隠し、有罪を捏造することを繰り返してきた検察ならば、十分ありうる事態だと思います。
特に統一教会の浮沈がかかっている裁判ですので、教団と関係の深い高市総理の地元ですので、統一教会批判を封じる検察の裁判進行には密かに総理もバックアップしているのではないか?再審法の改正法案をめぐっても高市総理は、検察の不正を防止する議連提出の再審法改正法案には反対し、検察の不正も野放しに近い検察サイドの再審法改正案に賛成していますので、山上被告の伯父が説く裁判の根本義など完全無視。おそらく総理も検察も山上弁護団もその意義を理解する能力すら欠いているのではないかとすら思います。
その伯父は山上一家について次のように語っています。
「旧統一教会によって徹也らが過酷な生活を強いられたのは事実です。皆さんが思うより、ずっと悲惨ですよ。」とも語っています。(【独自】「法廷で母親に会うのは嫌やろうな」 山上徹也被告の伯父が初公判の前に明かした胸中 2025/10/29/ AERA)
伯父はこの裁判に対して、次のような希望を託しています。
「あらゆる背景や事情も含め、この事件が社会的にどういう意義を持っているかを考えた上で判決を出してほしいと願っています」(山上徹也被告の伯父単独インタビュー 安倍元首相襲撃事件があぶり出した社会の課題 2024/07/09/ 11:00 AERA)
しかし裁判は、伯父の求める裁判の根本義とはほど遠い、政治的な判断に流れていきそうな印象です。統一教会によって苦しめられている国民よりも、統一教会救済が大事だ。この一点で、日本の政治も司法も一致しているのであれば、日本は民主主義国家でもなければ、法治国家でもないということになります。
山上裁判の判決や統一教会に対する解散命令をめぐる裁判の結果は、日本の現在地を示す重要な指標となるはずです。
なお、以下の伯父にインタビューした記事にも、山上家の悲惨な様子が生々しく語られています。
山上容疑者を凶行に駆り立てた一族の「壮絶歴史」
「何日も食べてない」兄妹の窮状を知り自殺未遂
野中 大樹 井艸 恵美 : 東洋経済 記者
2022/09/09
統一教会からの「返金終了」が山上家貧窮の決定打
兄の自死が再起を図る徹也の希望を打ち砕いた
野中 大樹 井艸 恵美 : 東洋経済 記者
2022/09/10
山上家は悲惨な暮らしを続ける中、この伯父の長年にわたる援助によっても助けられてきたことを窪田氏は全く考慮していません。伯父は援助を続けてきたことを証明する資料を検察にも提出したそうです。伯父が長年にわたって援助せざるをえないほど山上被告一家は、統一教会に資産を収奪されたことを証明するものですが、検察はそうした資料も完全に無視しています。裁判だけでは、山上一家の悲惨さが伝わってこないのも当然のことでした。
4.山上家祖父の死亡保険金の行方?
山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのか
にも書いておりますが、山上家は祖父が建設会社を経営しており、お見合いで結婚した、京大工学部卒の父親が将来の後継者となるほどの規模をもつ会社でしたが、母親は夫(子度たちの父親)の死亡保険金6000万円と、父親亡き後移り住んだ祖父の家(母親の実家)も売り払ったお金も教団に献金したことは、上記伯父も確認しております。
しかし祖父の会社は倒産して、会社関連の資産は山上家には残らなかったと母親は子どもたちに話していたそうですが、それはウソであったことが後に判明したことが徹也被告の証言で明らかにされました。ということは、事務所や建設会社所有の車や重機・機器類、什器などの諸々の物品も何がしかの金額で売却されているはずです。
従業員への退職金なども経費として支出されたにせよ、かなりの売却益はあったはず。しかも、中小企業のオーナー社長はおそらく例外なく役員保険のようなものに入っているはずです。もちろん、それらの生命保険も一般の生命保険会社が発行、売り出していますので特殊なものではありません。
ただ一般の生命保険と違って保険金は会社が支払い、保険金の受け取りても会社・法人となっています。葦書房は徹也被告の祖父の会社よりかなり規模は小さいとはいえ、三多も会社がかけて会社が受取人となっている役員保険に入っていました。
保険の掛け金は経費として落とせますので節税対策にもなります。よほど特殊な例外でもなければ、少なくとも中小企業のオーナー社長はほぼ全員この種の保険に入っているはずです。
祖父は、家庭の中でも孫たちの父親亡きあと、山上家の長として孫たちの面倒をみてきた立場上、祖父個人としても生命保険に入っていた可能性も非常に高いと思います。個人の保険金の掛け金も経費として収入から差し引かれますので、役員保険同様、節税対策にもなります。
にもかかわらず祖父の資産に関して、統一教会への献金となって消えたものは自宅の売却益以外には明らかになっていません。伯父の話にも出てきていません。会社関連の資産は倒産したことになっていましたので、伯父もその話を信じて会社関連資産は確認してなかったようです。
会社は倒産したという母親のウソが判明した後、祖父の資産は統一教会への1億円の献金となって消えたという母親の説明を、徹也被告らは納得はできないものの事実として受け入れたのだろうと思います。その際の祖父の資産は自宅がメインとなっていることには子どもたちも疑問を抱かなったようです。
会社の資産に関しては経理などの実務経験がなければ、社長なき後の資産処理など想像もつかいないはずです。また、会社が倒産したという母親のウソが、会社経営者であった祖父の残した資産がいかに巨額なものであったのか、そのことについて考える回路を遮断してしまっていたのだろうと思います。
祖父は会社の承継者に兄(一番上の孫)を指定していたそうですので、この兄に無断で母親が会社の資産を処分したことは違法行為に当たるはずです。祖父の役員保険金も法人である会社が全額受け取るとはいえ、オーナー社長を引き継いだ兄が事実上の保険金の受取人になっているわけですが、母親はこの死亡保険金も自分のものとしたであろうことは間違いないはずです。これも違法行為にあたりますが、後に山上家が貧窮に陥ったことからすると、この巨額の保険金も統一教会に献上したはずです。
祖父が個人で入っていた保険金は、遺産相続として母親とその兄弟姉妹、徹也被告らの孫で分けて受け取るのが法的な処理だと思いますが、この保険も全て母親が独り占めして統一教会に献上したのだろうと思います。
食べるに窮して、傷害をもっていた兄はついに自殺。その後も母親は徹也被告や妹(娘)にカネの無心を繰り返していたということを、妹が法廷で怒りを込めて証言していましたので、祖父の残した巨額の資産は全て統一教会に捧げたことは間違いありません。
わたしは、山上裁判・大和西大寺駅がなぜ2回連続で演説会場になったのか
では、祖父の残した資産も加えるならば統一教会への献金は1億円の数倍になるはずだと書きましたが、その後、祖父の役員保険もあったはずと気がつきました。おそらく個人的な生命保険にも入っていたはずなので、それらを合わせると、1億円の数倍どころか、数十倍であったとここに訂正しておきます。
伯父は法人法務を専門としていただけに、会社が倒産した場合の負債の巨大さ、帳簿上だけからは把握しがたい隠れ負債などの存在も知っていただけに、仮に祖父が役員保険などに入っていたしとても、負債処理に使われたと考え、その行方までは確認しなかったのだろうと思います。
母親はウソをついていただけに、そのウソがばれないように外部からの介入は極力排除したはずですので、誰にも知られぬまま、祖父の残した資産の全てを統一教会に捧げたのだろうと思います。巨額献金をした場合、母親は統一教会では何にも代えがたい心地よい体験をすることができたのだろうと思います。それがどんな快感か歓びかは分かりませんが、母親の狂気じみた献金行動は、理性を超えた衝動のようなものに強力に誘引された結果ではないかとさえ思われます。
子どもたちはもとより、母親本人自身も食うや食わずの貧窮に喘ぐほどに、巨万の富を残らず統一教会に献金して手にする歓びや快感とは、究極のサディズムの領域に達しているのではないか。あるいは、サディズムという複雑に屈折したものではなく、もっと簡明な快感めいたものが母親を満たしていたのかもしれません。全てを投げ出して献金で得る快感とは、いったいいかなるものであるのか。
5.窪田氏はアメリカで取材
ところで、不可解なことには窪田氏は、安倍氏やトランプ氏がビデオメッセージを送ったという、統一教会関連団体のインベントを米国の会場で取材したという。招待されて取材に行ったのか。それとも自腹を切ってアメリカまで取材に行ったのか。自腹を切ってまで取材すべきイベントだったのか。窪田氏は以下のような取材成果を披露しています。
筆者は安倍氏がトランプ大統領とともに、ビデオメッセージを送ったこのイベントを今年、会場で取材をした。トランプ大統領の宗教顧問で、ホワイトハウス信仰局のポーラ・ホワイト牧師や、米共和党の重鎮議員をはじめ世界中のVIPが来ていた。教団関連イベントに挨拶を送っただけで殺されなくてはいけないのであれば、世界中で大虐殺が起きなくてはいけない。しそうであれば、それを感じさせる
自腹を切ってまで取材するほどのレポートとは思えませんね。
統一教会による異常な献金収奪の被害者は日本人信者しかいません。統一教会といえども、日本以外では、宗教による信者の資産収奪は各国政府が許していないからです。統一教会の詐欺まがいの献金収奪を黙認している政府は日本のみ。
トランプ大統領も、自国民が統一教会から資産収奪の被害に遭えば、黙認はしないはず。統一教会はアメリカでも信者の資産収奪は一度もやっていません。やればすぐさま裁判沙汰になり、アメリカでの活動は不可能になるはず。
日本では政府が、宗教の自由を口実に何でもありで統一教会を自由に放任しています。にもかかわらず、日本以外の政治家になぜ責任を問うことになるのでしょうか。ジャーナリストのレポートとは思えぬ記事を書く窪田氏氏は、ほんとうに自腹を切って米国取材に行ったのでしょうか。
報道機関の取材とは、次のような記事を指すますね。
旧統一教会関連団体、トランプ氏出演に3億円 安倍氏「無償」なぜ?
スクープ大野友嘉子田中裕之
毎日新聞 2023/10/12 05:
窪田氏が取材したイベントにメッセージを送ったトランプ大統領には3億円、バンス副大統領には6000万円、他の出演者にも高額の謝礼金が贈られているのは言うまでもありませんが、これらの巨額の報酬は全て日本の信者から巻き上げた献金が原資です。窪田氏もそれを知らないはずはありません。
新設されたホワイトハウス信仰局のポーラ・ホワイト牧師は、就任後初の仕事なのか、統一教会に解散命令を出そうとしている日本政府(岸田政権)を批判した声明を発表をしました。わたしはすぐさま自分のブログで批判しましたが、アメリカ政府からの介入があったものの、地裁では解散命令が出され、この問題に関しては日本政府の独立性は保たれましたが、問題は次の高裁判決です。
窪田氏は、ポーラ・ホワイト牧師やバンス副大統領が、日本政府に対して統一協に解散命令を出すことを宗教弾圧として批判したことをどう考えているのでしょうか。これほどの日本への内政干渉に窪田氏は怒りを感じないのでしょうか。
統一教会からカネをもらっている連中からの介入は全て無視すべし。
なお、窪田氏が紹介していた「弁護士ジャーナリストの楊井人文氏は、《【検証 安倍元首相殺害事件】メディアが報じていないファクト 山上被告、自身の報道で「不正確なものも」》の中で、「祖父が包丁を持ち出したり、子供達に出て行けと言ったことはあった(11月19日妹証言、11月20日被告人質問)。こうした祖父の行為が虐待に当たる可能性はある」と批判していますが、前後の文脈を無視した捏造的な批判です。
祖父は、育児放棄をした母親に代わって孫たちの面倒をみてきたことは周知の事実だと思いますが、妹も祖父はとてもやさしくかわいがってくれたと語っています。ただ、母親が統一教会の信者になったことを知った祖父は、資産が全て盗まれると言って母親との対立が激しくなり、母親が信者を止めようとしないことから、ついに出ていけという言葉になったことが子どもたちからの話として明らかにされています。
これを虐待だといっていいのですか。楊井人文氏は本当に弁護士ですか。この裁判の傍聴は希望者が殺到したそうですが、同氏は12回も抽選に当たったという。運のいい方のようですが、この裁判は弁護士の選定も含めて不可解なことだらけです。ともかくも、法治国家としての公正な裁判を望みます。
6.「週刊文春」統一教会の㊙報告をめぐって 1/12
先ほど(1/12)近くのコンビニで「週刊文春」を買ってきて、問題の統一教会の徳野元会長が書いたという㊙報告書の記事を読みました。内容は上記でご紹介したWEB記事のタイトルに集約されたような内容でしたが、報告書の詳細な書きぶりからしても、統一教会が認知しているほぼ事実の報告だろうと思われます。
徳野英治元会長は、安倍晋三氏とは6回面談したそうですが、現役の総理大臣として4回面談したとのこと。1回目の総理大臣の時と2回目の総理大臣の時に合わせて4回、1回目と2回目の総理大臣の間の無役の時に2回と計6回も面談したという。徳野会長時代に、日本の総理大臣と統一教会(改名後は家庭連合)日本法人のトップがかなりの頻度で会っていたことが分かりますが、徳野会長以前も以降もおそらく交流は続いているはずです。
さらに徳野報告では、二一年九月の総裁選では、安倍氏は高市氏を強く推薦すると同時に、徳野氏宛てに「高市早苗氏を応援してほしいと実に熱心に本人が直接電話をかけています」と記されているという。
総裁選は、地方議員への働きかけには多少時間はかかるとはいえ、党内議員への働きかけだけでOKですので、統一教会の支援を得るというのは絶大な威力になりますね。統一教会の選挙支援といえば衆参議員選挙を考えてしまいますが、総裁選にまで影響力を行使していたとは、この記事で初めて知りました。
衆参議員選挙ならば統一教会信者の数が問題になりますので、それほどの影響力はないという窪田氏などの言い分に軍配が上がりそうですが、総裁選なら、統一教会の中枢部からの直接の働きかけで即効果が出るはずですので、これほど効率のいい政治力行使の機会はまたとないはずです。
支援した候補が総裁=首相に就任した場合は、統一教会は政権そのものに、つまりは日本政府にかなり強力な影響力を行使することが可能になります。と考えると、統一教会の信者の数からすると、有権者全体の投票行動に大きな影響を与えることはありえないとする分析は正しくありません。
統一教会が総理大臣になりうるような大物政治家を取り込んでいる限り、信者の数に関係なく日本政治をコントロールをすることは可能だということです。全体をコントロールすることは無理であったにしても、政権運営や政策にかなりの影響力を行使することは十分可能です。
こうした統一教会と日本政治の特異な関係は、政権を握ってきた自民党や自民党の大物政治家たちと統一教会とが、長年にわたって癒着的な関係をつづけてきたことで、その土台が築かれたことは言うまでもありません。
高市総理には、「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いである。(二一年九月十八日・徳野)」と、統一教会からは絶大な期待と支援が寄せられているそうですので、安倍総理亡き後は総裁選ではさらに強力に統一教会の支援を受けていたのではないか、とも推測したくなりますが、高市総理の事務所は、統一教会との関係を全否定しています。
他にも、かねがね統一教会との濃密な関係が指摘されてきた幹事長代行の荻生田t光一氏は、全否定まではしていないらしい。それほど関係が深いということなのか。そんな人物を要職に抜擢した高市氏は、ほんとうに統一教会と関係ないと全否定ができるのでしょうか。統一教会は教団に近い議員に関する組閣などの人事の動向も記録し、韓総裁に報告しているとのこと。
ちなみに高市氏の名前が報告書に登場する回数は32回、荻生田氏は68回、安倍元総理はダントツの547回。
石破政権で首相補佐官を務めた長島和久氏は、統一教会の合同結婚式を挙げたご夫婦揃っての信者だったそうですが、一時期脱退。最近になって教団と関係を持ち始めているという。長島氏自身は過去に信者であったことは認めていますが、脱退後は現在に至るまで教団との関係はないと否定しています。
意外だったのは、岸田政権時にデジタル大臣を務め、総裁選では小泉進次郎氏の選対では班長を務め、小泉氏をほめたたえる捏造情報の拡散を主導した牧島かれん氏も統一教会に近い議員として名が挙がっていることです。こちらもご本人は全否定していますが、報告書がウソ八百を書いているとも思えません。
山上被告は統一教会の信者だった?
さらの驚愕すべきことも報告されています。山上被告も信者として統一教会に登録されていたそうですが、襲撃事件を受けて田中富広前会長の指示で彼の名前を削除したことも報告されているそうです。
ただ統一教会は、山上被告に関する報告については否定しています。しかし統一教会の日本法人が、山上被告に関して上記のようなウソを韓総裁への報告書に書く動機は皆無です。おそらく彼も信者として登録されていたのは事実だろうと思います。
祖父、兄、妹が統一教会と母親に怒りを抱いている中で、山上被告は母親を理解しようとして教団の集会にも参加したりしていたそうですので、母親が信者登録した可能性は非常に高いと思います。
一般信者を勧誘するのも信者の重要な務めですが、まず家族を信者にすることは基本的な義務にもなっていたはずですので、山上被告自身が承諾したかどうかにかかわらず、母親は息子や娘も信者として登録していたのはほぼ間違いないはずです。信者は毎月会費のようなものを払う義務があるはずですが、会費は母親が払っていたはずです。
ということで、事件後、山上被告の名前が削除されたのもおそらく事実だろうと思います。つまり、山上被告については、統一教会、少なくとも奈良支部は明確に彼の存在を認識していたということです。となると、奈良支部の建物の壁に残された銃弾痕は山上被告の仕業だと推測できたのではないか。奈良支部が、試射による建物被害を警察に届けなかったのも、犯人が信者ないしは信者の息子、山上被告であることが推測できたからではないのか。
この段階ですでに、奈良支部ないしは統一教会が、山上被告が安倍元総理銃撃を企てていることを把握していたどうかは断定はできないものの、もしも銃弾痕を確認してすぐに警察に通報していたならば、安倍元総理の銃撃は未然に防げた可能は非常に高かったはずです。
本人が認識していたかどうかとは別に、統一教会が山上被告を信者として把握していたという新たな事実は、安倍元総理銃撃事件の謎をさらに深めることになりそうです。
ともあれ、統一教会をめぐっては不可解なことが非常に多い。にもかかわらず、統一教会は日本の政治の中枢に深く食い込んでいます。
統一教会と関係をもっている政治家は、教団によって何らかの利益がもたらされているのでしょうが、その教団によって家庭が破壊され、人生が破壊されて苦しんでいる国民が多数いるという現実を直視するならば、教団に助力を求めることは絶対にできないはずです。今日本の政治家がなすべきことは、信者(日本国民)を詐欺的手法でたぶらかし、その資産を献金と称して収奪してきた教団の活動を無効化すること。統一教会に関しては、これ以外に日本の政治家としての使命はないはずです。
これこそが、安倍元総理が銃撃されるという衝撃的な事件がわれわれ国民に対して、そして政治家の皆さんに突き付けた重すぎる教訓ではないでしょうか。

