高市総理は就任早々の外交デビューが成功裏に終わったこともあり、非常に高い支持率を得ていますが、政策以前の倫理面では大きな問題を抱えています。その第一が参院自民党がN党副党首と手を組んだこと。第二が、連立を組んだ維新の会をめぐる問題です。維新の副首都構想批判の中で、激甚災害などに備えて、デジタル首都構想という、おそらく本邦初の首都機能のバックアップ体制のご提案もしています。日本の米不足と米価高騰で韓国米の日本輸出が30倍に激増したこともご報告。
目次
1.N党と倫理崩壊した自民党
高市総理は就任早々にもかかわらず、初の外交デビューを華々しくもその存在感を国内外にアピールすることに成功しました。国民の支持も一気に上昇。わたしもこの高市外交をとっかかりに、日本の外交政策の問題点を明らかにしようと原稿を書き始めたのですが、国会が始まり、山積する国内問題が一気に眼前に突き付けられ、急遽、高市政権の内情に迫ることにしました。
最も驚き、怒りを覚えたのは、参院自民党がN党の斉藤健一郎参議院議員を取り込んだことです。外交をテーマに原稿を書いているさ中、ネットで自民党の西田昌司参院議員が、N党の斎藤氏に連立の働きかけをしたという趣旨の記事を目にして驚きましたが、西日本新聞でも目にした記憶もなく、西田氏個人の動きかと思い、関連記事も読んでいませんでした。いくら落ち目の自民党とはいえ、まさかN党とも手を組むなどという破廉恥なことまではしないだろうと思っていたからです。
しかしさにあらず。高市総理(総裁)は、そのまさかの選択をして、自民党として正式に斎藤氏と提携したとのことでした。
国会でも高市総理はこの問題を追及されていましたが、N党との連立ではなく、斎藤氏は無所属の参院議員として、「自民党・無所属会派」を結成したと釈明していましたが、こんな詭弁が通用するはずはありません。N党唯一の国会議員である斎藤氏はN党を離党しておらず、今現在もN党の副党首!N党立花党首=N党斎藤副党首であることは言うまでもありません。
その党首立花孝志氏がついに兵庫県警に逮捕されましたが、いかなる罪を犯したかはあらためて言うまでもないほどに日本中周知の事実です。
NHK党の立花党首を逮捕 元県議の名誉毀損容疑―発言「争うつもりない」・兵庫県警
時事通信 社会部2025年11月10日
立花孝志容疑者の逮捕でNHK党が緊急会見「お騒がせし、おわび」伊東市長選対応は未定
2025/11/10 産経新聞
立花氏は伊東市長選にも出るつもりだったらしい。あきれ果てますが、立花氏は、民主主義の根幹をなす選挙でデマをまき散らして混乱に陥れ、有権者の判断を誤った方向に誘導するという民主主義破壊者です。兵庫県知事選では、斎藤元彦候補に対しては、パワハラ疑惑を否定するようなデマ情報や、告発者である自死した元県民局長を貶めるような情報をまき散らし、斎藤候補への支持を集めるために強力なプロパガンダを展開してきました。
その一方、有力な対抗馬であった元尼崎市長であった稲村候補には、SNSを使った露骨なデマ情報を浴びせ、斎藤候補再選を確実なものにしました。
稲村候補に関しては、デマ投稿の方がバズって広告収入が上がるからか、X社までもが稲村候補攻撃に加担しています。稲村氏はX社を提訴していますが、X社の不当な言論封殺、選挙妨害の事実を明らかにしていただきたいと思います。
兵庫県知事選の闇はさらに深刻度を増し、一人の県職員と一人の県議が自死に追い込まれるという異常事態にまで立ち至っています。内部通報者である県民局長の自死に関しては斎藤元彦知事に根本原因があり、第一義的責任は斎藤知事が負うべきであるのは当然ですが、立花氏は斎藤知事擁護のために、自死した元県民局長の名誉を傷つけるような言説をまき散らしました。
さらには、内部通報をめぐる斎藤知事の対応を審議していた、百条委員会の県議竹内英明氏に対してもデマをまき散らし、自死へと追いやっただけではなく、竹内氏の死後もデマをまき散らし、死者を冒涜し続けています。
竹内氏の奥様は亡き夫の名誉を棄損したとして立花氏を告訴していますが、奥様が語った立花氏評は、立花氏の本質をズバリ衝いています。
竹内元県議の妻(今年8月)
「立花氏の発信で『黒幕』とされた夫は人々の憎悪の対象に、悪意を向ける標的とされました。デマで人をおとしめ、死者にむち打つ行為が平然と公然と行われています。民主主義の根幹をなす選挙が死者の冒とくに利用されることの異常さ、悪質さを私たちはもっと深刻に受け止めなければならないと思います」(TBS NEWS 【N党・立花孝志党首を逮捕】自宅で死亡した元兵庫県議への名誉毀損疑い 妻が刑事告訴「デマで人を貶め死者に鞭打つ行為」)
高市自民党は、ほんとうに、こんなN党の副党首である斎藤氏と手を組んだのかと、今も信じられない思いです。それほど異様な事態ですが、無所属会派として手を組んだので問題ないと言い張る高市総理と自民党は、斎藤氏がN党の副党首として党首逮捕について記者会見を開いたことをどう説明するのでしょうか。
立花孝志容疑者の逮捕でNHK党が緊急会見「お騒がせし、おわび」伊東市長選対応は未定
2025/11/10 産経新聞
さらに自民党県連からも、自民党本部に対してN党との会派結成に経緯の説明を求める申し入れ書が提出されたという。自民党の兵庫県連は、斎藤知事不信任案に賛成し、斎藤知事を失職に追い込んだんですよ。その自党の県連を無視したN党副党首の取り込み。あきれ果てますね。
「どうすり合わせしたのか説明を」 N党との参院会派結成に自民兵庫県議団が申し入れ書
2025/10/23 産経新聞
11/11の西日本新聞にも竹内氏の奥様の談話が掲載されていました。奥様によると、竹内氏が議員辞職したのは、ご家族も怯えるほどのSNSによる激しい誹謗中傷を受けて、議員を辞めると攻撃も止むだろうと思い、家族を守るために辞職したという。しかし議員を辞職してもSNSを使った中傷攻撃は止まず、竹内氏は「負けた」と嘆き、ついに命を断ったという。
立花氏自身も竹内攻撃を展開していましたが、立花氏以外の膨大な数のSNSを使った斎藤元彦批判派に対する誹謗中傷は、立花氏のデマ扇動が誘発したことは明らかです。立花氏が斎藤元彦氏応援のためだけに立候補した「2馬力選挙」という、選挙を悪用した、選挙の公正さを露骨に棄損する活動が、デマだけで斎藤知事が再選されるという、民意を歪めきった結果を生み出したわけです。(SNS選挙、デマで勝つ)
高市総理と自民党は、こんな連中と手を組んで恥ずかしくないのですか。
兵庫県警は、よくぞ立花氏を逮捕したと思いますが、腰折れにならぬようぬことを心から願っています。日本の民主主義の息の根が断たれるかどうかがかかっています。
2.斎藤知事=維新の会=立花孝志氏
さらに問題なのは、斎藤知事を告発した県民局長自死をめぐる動きに維新の会が関与していたことです。以下のブログに書いておりますように、局長自死をめぐる情報漏洩には、斎藤知事自らが関与していただけではなく、維新の会の県議がその情報を外部に漏洩させたという事実も明らかになっています。
デジタル庁のGoogle依存の謎「7.時事問題/(1)鉄面皮・斎藤元彦」
斎藤知事は維新の会の推薦を受けて当選しましたので、維新の県議と親密であったというのは当然のこととはいえ、斎藤知事が違法な手法で入手した、県民局長の個人情報の外部漏洩に維新の県議が関与したということは、違法幇助罪そのもの。斎藤知事と維新の県議は共犯です。
しかしこれほど異常で違法な手法で斎藤氏が当選したことに関しては、その正当性を検証すべきであるにもかかわらず、勝てば官軍とばかり何の反省もなく、維新の党首吉村氏は、不信任決議案を出して斎藤氏を失職に追い込んだ県議会の責任を問い、県議会解散まで要求する意向であったという。筋の違いすぎる卒倒しそうな言い分ですが、維新の会そのものが違法もヘッチャラの政党
兵庫県議会の「みそぎ解散」はあり得るか 維新・吉村氏がけじめ要求、県議賛否入り乱れ
2024/11/22 産経新聞>
ただ斎藤知事は、自分がSNSのデマ拡散で当選したことを自覚していたのか、議会解散には同意せず、議会は解散しませんでしたが、吉村党首は兵庫県議でもないにもかかわらず、県議会解散という越権行為を平然と行おうとしていたわけです。吉村氏は、兵庫県議会はまるで維新の私有物であるかのように考えていたのではないかとさえ思われます。維新の独裁志向が露骨に現れています。
自民は民主的選挙の破壊者N党副党首の斎藤健一郎氏とも手を組み、N党とも非常に親和性の高い維新とも手を組んでいます。自民党は、勝つためなら手段を選ばぬ連中と、同じ穴の狢になることを選んだらしい。貧すれば鈍すとは言うものの、ここまで倫理崩壊した自民党は真の保守政党と言えるのかどうか、非常に疑問です。
規範を無視するようでは、真の保守とはいえません。道徳や倫理は個人の内面に宿る価値観ですが、その内なる価値を、盗むな、殺すな、騙すななどという人類普遍の絶対的価値や、歴史的、文化的特性を基盤に最大公約数的に外化、明文化したものが法律です。この法律を守らないのは犯罪者か社会的破壊者です。
維新の会は、盗むな、騙すなという人類普遍の基本的な道徳観さえ放棄した政党であることは、大阪万博の工費未払い問題でも(大阪万博の詐欺)露骨に表れていますが、つい最近、藤田副代表が露骨に言論を封じる破廉恥さを発揮して話題になっています。
藤田氏が、選挙ポスターの印刷を自身の秘書が経営する印刷屋に発注したことを「赤旗」が暴露したことに腹を立て、記者の名刺をSNSに公開するという破廉恥で陰湿な報復をしたという事件です。
「身を切る改革」を掲げる維新がコレ? 藤田文武共同代表の釈明会見でまた出した「非を認めない」党の体質
2025年11月5日 東京新聞
維新・藤田文武氏による「嫌がらせ」に失望の声 赤旗記者の名刺をSNSでさらし…立花孝志氏ばりの「犬笛」
2025年11月6日 東京新聞
維新・大阪府総支部、政党交付金を充当 藤田氏秘書が代表の会社に
スクープ
毎日新聞2025/11/5
事実でないことを報じたのであれば報復するのも当然だと思いますが、事実を報道された報復に、住所や電話番号なども入った名刺をSNS上に公開するとは異常すぎます。電話番号は抗議を受けて消したそうですが、住所は残したまま。藤田氏によるリンチ(私刑)以外の何ものでもありませんが、これほど露骨な言論封殺は、政治家ではまず他に例はないはず。ましてや公党の副党首という要職にある人物では他に例はないと断言します。
ただし、維新の会の元代表で同党の重鎮である松井一郎氏が現役時代の記者会見の場で、批判する人はここかから出て行ってもらう、記者会見には呼ばないという趣旨の発言をしているのをWEB記事で見て、驚愕しました。独裁志向が露骨すぎます。
しかしこれほど露骨な独裁者然とした言論封殺が公開の場でなされているにもかかわらず、どこからも批判らしい批判は聞こえてきません。大阪では維新を批判するメディアアはいないという噂は拡がっていましたが、維新はこれほど露骨な言論封じをするのかと、その現場を初めて目にして心底驚きました。
大阪では、維新の会が圧倒的な力を誇っているように見えるのは、維新による露骨な報道操作の結果でもあるのだろうと思いますが、報道への圧力は藤田氏のみならず、松井時代から続く維新の伝統伎だというべきでしょう。
副代表の報道機関への露骨な嫌がらせに対して、吉村党首も容認していますが、それもそのはずです。実は維新の会も組織として、身内である藤田幹事長の秘書の印刷屋にポスターの印刷を依頼していたことも明らかになりました。
ひょっとして印刷屋からは、藤田氏や維新の会にひそかにバックマージンが渡されていたのでは?という疑惑も起こりえますが、記録が残されていなければこの疑惑も証明されませんね。
とはいえ、副党首個人と維新の会が組織として、身内に利益供与するという違法行為を犯したことは事実であったわけですが、この事実が明らかになるや、副党首は謝罪もせずに、その事実を暴露した報道機関の記者の個人情報をネットに公開するという報復を敢行。
ただし、報復したのは「赤旗」の記者のみ。「赤旗」の報道を受けて他紙も追随したので「赤旗」を狙い撃ちにしたらしい。しかしこれほど稚拙で恥知らずな報復ができるとは、維新の会は恥も外聞もないだけではなく、品性の一かけらもない人々の集まりではないかとさえ思われてきます。
恥も外聞も品もないという点では、藤田氏と立花氏は完全に同類です。藤田氏とはすなわち維新の会でもあるわけです。維新の兵庫県議は、PCに残されていた自死した元局長の個人情報を立花氏に漏らし、斎藤元彦氏への批判を打ち消すために、立花氏を使って元局長の個人情報をまき散らすという悪辣至極な手法まで駆使して、斎藤氏再選をもぎ取りました。
すでに指摘したようにこの結果を得て、吉村党首は維新の会として、斎藤知事不信任案を決議して斎藤氏を失職させた兵庫県議会の責任を問い、解散まで要求する意向を表明していました。吉村党首はいかなる資格があってそんな要求を持ち出したのか。越権行為も甚だしいと言わざるをえませんが、ここにも維新の会の違法性志向が現れています。維新に逆らう者には容赦なく報復。独裁志向も露わです。
こうした流れを見ていると、なりふり構わず、恥も外聞も品もない手を使って、斎藤知事の再選をもぎ取った知事選にも維新の会が組織として関与していた疑いは濃厚です。勝つためには手段を選ばず。維新の会のその鉄則は、自民との連立合意にも表れています。
3.独裁志向の維新の企み
維新は、自民との連立では、国会議員の定数削減と副首都構想を連立の絶対条件としました。国会でも大きなテーマになるのかと思いきや、少なくとも維新の議員からはほとんどこれらの問題は提起されていないように思われます。
わたしはパートの仕事もあり、ラジオを聞きながら読んだり書いたりはできないので、国会中継はたまにしか聞きませんが、維新の議員は、ほとんど異論も出ないような問題しか取り上げていないとの印象です。国会審議の概要を報じた新聞にもそれらしい記事は出ていません。
しかし、維新は、連立の絶対条件とした議員定数削減と副首都構想を取り下げたわけではありません。自民との審議の場はすでに発足させているようですので、国会では審議せずに、自民との話し合いで「私的」に実現への道筋を確実にした上で国会に上程しようと画策しているのではないか。そんな邪推さえしたくなるような状況です。
自民党内にある反短論者を完全に抑えた上で、法案を国会に出すという算段ではないかと思います。維新は議員定数削減については、今国会の会期内にこの法案を通すと繰り返し表明していますが、衆議院のサイトを見ると、目下開会中の臨時国会は令和7年10月21日~令和7年12月17日となっています。
維新の言う今国会というのは、この臨時国会内とのことなのか。もしそうであるならば、時間はほとんど残されていません。いくら維新でも、国会審議の時間もないまま、12月17日までの議員定数削減法案を通そうとは考えていないはずだというのであれば、今国会とは、来年1月に開催予定の通常国会ということになりますが、例年、通常国会は1月20日すぎから6月20日すぎの150日間開催される予定だという。
しかし衆議院のサイトにも記載がないことからも分かるように、来年の通常国会の日程はまだ決まっていないとのこと。維新は「今国会」と、会期を明確に確定していますので、常識的に考えると、日程が未定の来年の通常国会でないことはほぼ間違いないはずです。
来年の通常国会では、高市総理は解散するのではないかとの観測記事も出ていますので、維新が来年の通常国会会期末(6月)まで待つはずのないことも言うまでもありません。ひょっとして維新は、副首都構想もこの臨時国会会期末までの成立を企んでいるのかもしれません。国民がもっとも要求していた政治とカネの問題は高市総理の任期中までと数年もの先送りに同意していながら、国民が考えもしていなかった議員定数削減と副首都構想だけは、明確に期限を切り、審議する暇も与えずに今国会中に通そうとしているのではないか。
そう考えると、維新の会が国会で、どこからも反対が出そうもない問題を提起して波立てず平穏裏に国会審議をやり過ごそうとしている姿勢が、悪辣な企みからくる深謀遠慮によるものではないかとさえ思えてきました。
維新が、紛糾必至の定数削減や副首都構想は国会では問題にしないという穏やかな姿勢を見せているので、野党からの反論はもとより、自民党内にもある異論も出ず、国会は一見穏やかな雰囲気に包まれているように見えますが、今国会が穏やかなまま終わるとは思えません。
会期末まであと僅かとなった頃に、自民党内外への多数派工作を成功させた上で、維新はライバル政党壊滅策となる議員定数削減案を提出し、有無を言わさず採決にもっていく策略を練っているのではないか。
と書きながらも、わたしは当初、維新がここまで策を弄しでいるとまでは考えていませんでしたが、国会の会期を調べるうちに、維新の言う「今国会」の会期末が12月17日であることを知って驚愕。審議する時間もないこんな短期のうちに、この重要法案を強引に通そうとしているのかと、信じられない思いに襲われています。
いくら独裁志向の強い維新とはいえ、国会議員の定数削減は、全政党に大きな影響を与えるだけではなく、我々有権者の権利行使の実質にも重大な影響を与えずにはいない法案です。その重要法案を、維新の利益を守るために策を弄して強引に成立させるとまでは、会期を調べるまでは考えてもいませんでした。
わたしのこの推測が間違っていることを祈っていますが、今国会での成立を目指すという維新の主張が事実だとすれば、ギリギリまで油断をさせておいて、会期末間近に法案を出して強引に成立させるという、奇襲作戦も十分にあり得るのではないか。維新は自党の利益を守るためには手段を選ばぬ政党ですから。
4.日本の国会議員数はG7中最少
しかし、維新の絶対条件とする定数削減については、日本の国会議員数は諸外国と比べて多いのかどうか、それをまず調べる必要があるはずです。立憲民主党や国民民主党など野党も削減には参政していますが、削減しなければならないほど日本の国会議員の数は多いと考えているのか。推進者である維新も含めて、その根拠を示して説明していただきたい。
大阪万博の詐欺「 4.維新の議員定数削減案の正体」にも書いておりますが、民主主義体制下で選挙を実施している国(G7)の中では、人口比で国会議員の定数を見ると、日本は2番目に少ない。一番少ないのはアメリカですが、アメリカでは州の権限が非常に強く、各州ごとに州法があり、州兵まで擁しているほどに独立性が強い。国の直轄事業は限られていますので、当然のことながら国会(連邦)議員の数も少ない。このアメリカを除けば、人口比で見た日本の国会議員数はもっとも少ないという。
上記わたしのブログでもご紹介しておりますが、以下の記事を再度ごらんいただきたい。
日本の国会議員は少なすぎる?維新吉村代表の危険性
HIDE 2025年10月17日 09:4
<国内では「議員定数削減」が政治改革の主要なテーマとされてきましたが、その結果として、国民一人ひとりに対する代表の密度は、他の先進民主主義国に比べて著しく希薄になっているのが現状なのです。>
<身を切る改革」という美辞麗句の陰で、実は国民の声が政治に届く回路が細くなっているのではないか。この重要な問いに、私たち一人ひとりが向き合う時が来ています。>
1票の格差是正裁判の結果、地方の国会議員数が削られてきていますが、この上さらに定数が削減され、国会議員の絶対数が削減されるならば、人口減少がつづく地方の定数がさらに削減され、国会議員ゼロの地域が増えるだけであることは火を見るよりも明らかです。
維新の狙う議員定数削減案は、維新のライバル党潰し策であると同時に、地方切り捨て、地方潰し策であることは明らかです。
地方の国会議員ゼロを回避するためには憲法を改正する必要がありますが、すぐさま憲法を改正することは不可能です。人口の多い都市部だけではなく、日本全国津々浦々からも有権者の声が届くような議員の選出方法は、全党、全会派が議論を重ねて結論を導く必要があるはずですので、すぐには結論を得ることは難しい。
という事情を考えると、人口比でみるとG7中もっとも議員数が少ない日本の国会議員数をさらに減らして、政治と国民との距離をさらに広げるばかりか、地方の議員数ゼロ地帯を増やすだけの議員数削減案は即刻廃棄処分にすべきです。自民党のみならず野党の皆さんも維新の扇動に煽られずに、日本の国会議員数はG7の中ではもっとも少ないという事実をしかと認識すべきです。
維新の言う「身を切る改革」のまやかしに、他党の政治家までも乗せられてしまっては日本の未来は暗い。ただ、在版のマスコミのみならず日本のマスコミ全体が維新に迎合するような傾向がありますので、政治家だけを批判しても余り意味はありません。おそらく、維新が経団連や日本の財界の受けがいいらしいので、日本のマスコミは、維新批判をすると広告収入が減るのではないかと恐れているのだろうと思います。
5.日本のAI敗戦の責任は経済界にあり
しかし経団連や経済界のトップは、日本経済の衰退を招いた張本人ですよ。小泉政権から安倍政権、そして現在に至るまで、日本の経済政策や教育政策には必ず経済界からの提言を取り入れてきました。歴代政権を通じて、民間企業の手法が最高善ででもあるかのように喧伝されてきましたが、旧来型の成功体験しか持たない日本の経済人、企業人は、人類史上前例のない秒進分速で進むデジタル時代に対応する知識も知恵も持たず、日本経済、日本の教育に「AI敗戦」という致命的な遅滞をもたらしました。
歴代政権が、大学などの学術界に政策の決定権を委ねていたならば、ここまでの遅滞は発生しなかったと断言します。専門家や研究者は時代の最先端の研究は見逃しませんし、その対応力も豊富です。しかし、民間重用を進めてきた歴代政権下では、その学術界が旧来型の知識や知見しか持たない経済界の配下に置かれ、大学での研究の自由が制限され、資金供給も制限されてきました。
その挙句が、日本ではAI研究を専門とする部門を有する大学はゼロだという、無残極まりない結果を招いています。この最大の責任は歴代政権にありますが、時々の政権に提言してきた経済界にも大きな責任があります。そして歴代政権の無能な政治を許してきた全政治家にも責任ありです。
わたしは、経団連名誉会長の十倉雅和氏と吉村氏とが、大阪万博の会長、副会長のツーカーの関係にあったことを、大阪万博の詐欺を書く中で初めって知ったのですが、維新が連立のもう一つの絶対条件としている副首都構想にも十倉氏、並びに経団連は全面的に協力して推進するはずです。しかしこんな副首都構想は、日本の衰退をさらに加速させるだけであることを、経済人なら気づくべきではありませんか。
わたしはかなり前から、以下のように維新の都構想を批判してきました。維新批判の記事は数が多いのでサイト内検索でご案内します。
「維新 都構想」の検索結果
大阪万博の詐欺を書くまでは、こんな日本破壊策は維新に負わされた政治的命題だろうとばかり考えていました。しかし、仮に一部だとしても日本の経済界が維新を支援していることが分かると、維新だけを批判していても余り効果はなく、日本の政治に影響を行使しうる経済界も含めて批判すべであることに気がついた次第です。
大阪都構想の批判を書いた5,6年前と、デジタル技術がAIに象徴されるような異次元の進化を経た現在とでは、社会的にも経済的にも文字通り異次元の変化が起こっていますので、視点を変えて批判すべきだとは思いますが、いずれも日本を破壊する意図を孕んだ政策であることには変わりはありません。
6.デジタル首都構想
デジタルやAIについてはそれ単独で取り上げたいと思いますので、ここでは簡単に指摘しておきますが、激甚災害などに備えた首都機能のバックアップ体制は、維新のいう、行政区分の変更を前提にした副首都構想ではなく、デジタルやAI技術を駆使して、WEB上にデジタル首都を構築する「デジタル首都構想」を進めるべきです。
維新の副首都構想は、地震や豪雨などによる首都機能の喪失に備えて、他地域に副首都を作るべきだというの基本的主張のようですが、今の日本でこれらの災害と全く無縁な地域はいったいどこにあるのでしょうか。
災害が少ないとして候補地に名乗りを挙げている自治体もいくつか出ていますが、余りにも不自然すぎるほどに、地震や豪雨に襲われ続けている今の日本の状況からするならば、災害とは全く無縁で安全な場所はどこにもないというのが現実ではありませんか。
比較的ましだという程度で、首都機能を地方に分散することが日本のためになるのか、維新や経団連は真剣に考えたことはあるのでしょうか。
維新は、大阪都構想同様、副首都構想でも行政区分を変更することを、党の基本命題にしているとさえ思われますが、その結果が何をもたらすのか、考えたことはあるのですか。
大阪都構想は否決されたので、完全な実施はできぬままですが、行政区分を変えると、国や国民などの情報管理システムの大幅な改変、あるいは新規のシステム構築が不可避となります。莫大な費用がかかることは言うまでもありませんが、日本のIT企業だけでは対応は不可能です。
受注した日本企業にしても、実際のシステム構築業務は日本人だけでまかなうことは不可能ですので、どんな国の人が実際の業務に従事しているかは分からぬ下請け、孫請け、ひ孫請けなどの下層業者に委託せざるをえません。
膨大な量の国や国民の情報は、それらの素性の分からぬ業者の手に渡ります。莫大な税金を投じて、日本国の情報をそんな危険にさらしてまで、首都機能を分散する意義はどこにあるのですか。
今から20年ぐらい前だったかと思いますが、デジタル先進国として有名な北欧のエストニアは、なぜデジタル先進国として国の統治を進めてきたのかと問われて、次のように答えていたのが今も強く印象に残っています。
仮に国が他国に占領されても、国の統治関連情報や国民の情報をデジタル化して保持していたならば、国の独立を守ることができるからだと答えていました。エストニアは国境がロシアに接しており、ソ連時代に占領され悲惨な目にあった歴史から導き出された教訓であり、防衛策だと思います。
日本の政治家もエストニアを視察していますが、何の学びも得ていないわけです。他国に占領されても、デジタル化した情報があれば国の独立を守ることができる。つまりは、デジタルデータさえあれば国の統治を続けることはできるということです。
日本の場合は他国に占領されるおそれはほとんどありませんが、仮に東京が地震などに見舞われて壊滅的な被害を受けても、各省庁や官邸などのデジタルデータを保存したサーバーが破壊されない限り、東京以外の場所からも統治業務を続けることができるということです。
今もっとも求められていることは、統治関連データを比較的安全な地域に複製分散して危機に備えることではありませんか。分散したサーバを管理する担当者を常駐させて、データの安全確認と管理を行う。地震が発生した場合は、各地に分散して管理しているサーバー管理部門が連携して、即座に官邸や都庁支援と、官邸や都庁に代わって災害対応に当たる。
実際に首都が地震などで壊滅状態になった場合は、各地のサーバーを管理している職員による首都サポートは不可欠ですが、日々の管理はAIに任せると、職員の負担を軽減できるだけではなく、24時間休みなく監視できますし、異変の記録も確実に残ります。
巨大サーバー設置には巨額の費用がかかるとは思いますが、AIをフル活用すれば人件費も削減できますので、首都以外の複数地に複製データを保管するサーバーを設置するというデジタル首都構想ならば、実際に行政区分を動かす副首都構想とは比較にならないほど、少ない予算で首都の統治機能をバックアップする体制を築くことはできるはずです。
わたしのご提案が本邦初だと思いますが、このデジタル首都構想だと、費用は少なく安全であるばかりではなく、何よりも遅滞している日本のAI活用力を高める絶好の契機になるはずです。
もしも維新の言う副首都構想を採用するならば、AI活用どころか、AI敗戦とまで呼ばれる日本のAI対応力の遅れに気づき、何とか挽回しようという機運が芽生え始めた最近の動きを、一気に潰す結果になることは言うまでもありません。
デジタル赤字が襲う近未来の日本にも書いておりますように、大学や国の統治機構を物理的に大改編すると、その眼前の動きに全てが消され、真に必要な施策が何かも分からなくなってしまいます。副首都構想が実際に行われたならば、日本にも今になってやっと出てきた、AIの遅れを取り戻そうという動きの芽生えも潰されてしまうことは明らかです。維新の副首都構想を許すならば、上記ブログに書いたようなIT潰しが、AI(AIはITの進化形)潰しとなって再現されるだけだということを強調しておきます。
他の副首都構想批判のご紹介
首都機能の分散は、災害時のバックアップ機能だけではなく、東京一極集中是正にも効果があるかのように喧伝されていますが、東京一極集中は、以下の記事が指摘するように、国の行政機関を地方に移転しても全く変わりません。
地方への政府機能移転にほぼ意味がないワケ
望ましいのは国に集中する権限の一部委譲だ
山下 祐介 : 首都大学東京都市社会学部教授
2018/08/21
国の事務業務を地方に移しても地方経済が活性化するはずはありません。二重行政で経費が嵩み、職員が東京と地方を行ったり来たりする必要が出てきますので、これまた経費が嵩みます。おまけにムダに時間もかかり、仕事の効率も下がるだけ。メリットは何一つありません。
地方を活性化するには、上記の山下教授が指摘しているように、政府機関を移すのではなく、国の権限と財源の一部を地方に移譲することです。都道府県に国の権限と財源の一部を移譲すれば地方が活性化するのは間違いないですね。
次の記事は、わたしとは別の角度から副首都構想を批判しています。
大阪が「東京の縮小コピー」に成り下がる?維新の「副首都構
想」が間違っている根本理由
白川 司: 評論家、翻訳家、千代田区議会議員
2025年10月11日
白川氏は、大阪は東京の縮小コピーに成り下がるのではなく、江戸時代にそうであったように、経済都市としての再生、発展を目指すべきだと提言しています。維新にはその能力がないので、副首都構想などを持ち出しているわけです。
******
なお、数少ない大阪維新政治の批判を見つけましたので、以下に一部をご紹介します。
維新の「議員定数削減」の本当の狙いとは? ――大阪で起きたこと、そして民主主義への影響
HIDE 2025年10月19日
大阪では、議員定数が削減された結果、民意が反映されなくなったという弊害が現実に起こっているという。議会を構成する議員の数が削減されていますので、首長(国でいえば政権)の独裁化が進むということです。
日本維新の会および大阪維新の会「不祥事まとめ」
HIDE
2025年10月21日
HIDE noteには、さらに維新批判記事が公開されています。
7.再審制度と農政
鈴木貴子氏の国会質疑
たまたま聞いた国会中継で、以下の記事でも紹介されている鈴木貴子氏の再審制度見直しに関する質疑というよりも、演説に近い問いかけには、国会中継では経験したことのないほどの感動を覚えました。
日刊スポーツ 2025/11/8
自民・鈴木貴子氏「家宅捜索に入った捜査員は…」父宗男氏の事件の経験を告白「私の通知表も…」
鈴木氏のご尊父、宗男氏がかつて受託収賄の罪に問われた際の経験を基に、貴子氏が再審制度見直しの必要性を訴えたものですが、毅然とした中にも切々と胸に迫るものがありました。
再審制度見直しについては議員立法も出されていますが、自民党の中には官僚主導で進められている法制審議会に任せるべきだという、官僚の奴隷のような議員が未だ大勢いるらしいことは何度も報じられていますが、彼らは国会議員であるにもかかわらず、袴田事件をはじめ冤罪事件の実態についてはほとんど知らないのではないかとと怒りを覚えていました。
しかし自民党議員である鈴木貴子氏は、その法制審議会の問題点も明確に指摘していました。これほどクリアで公正な政治家が自民党の中にいるのかと心底驚きましたが、鈴木氏は間違いなく自民党議員だという。
再審制度見直しは、官僚の奴隷にはならずに、国民のための社会的正義実現に資する公正な改正を望みます。鈴木氏によれば、高市総理は思いを同じくしているとのことですので、残酷な冤罪被害者を二度と生まないような制度の見直しを求めます。
なお、ここで注釈を挟むのは少し心苦しいですが、鈴木宗男氏のロシア擁護は、とても受け入れることはできないことは、一言書き添えさせていただきます。
韓国米の日本への輸出は30倍増に
偶然にも同じ鈴木姓ですが、鈴木憲和氏は農水大臣に就任早々、石破前総理が退任間近に米の増産を決定したにもかかわらず、米価が下がるので増産を撤回することを表明しました。前政権に対する嫌がらせかと思うようなタイミングでしたが、撤回の理由もピントはずれ。
価格は政府が決めるのではなく、市場に任せるべきだと言いながら、米価下落を阻止するために増産を撤回して生産調整をするという論理矛盾全開です。日本語の意味も分かっていないのではないかという思うほどのお粗末さ。
日本の米政策の最大の問題は、今なお事実上政府が生産調整をしていることに起因していることは、様々な角度から指摘されてきましたが、鈴木農水大臣はその路線をより明確にする方針らしい。
しかし米価格が高騰を続け、国民が悲鳴を上げているさ中、唐突にも米の増産方針を撤回した鈴木大臣の判断は余りにも異常です。大臣はどこを向いているのか。米農家?しかし米農家さんは、消費者が悲鳴を上げるほどの高騰までは望んでいないはず。
では、どこか?と、わたしは鈴木大臣の余りにも異様すぎる判断にあれこれ思いを巡らしていましたが、アメリカ米の大量輸入を促すためなのか。日本米の価格が下がると、アメリカ米は売れなくなるはずだからです。
しかし、トランプ関税交渉で合意したアメリカ米の輸入は、日本がWTO(世界貿易機関)から義務付けられている海外からの輸入米、ミニマムアクセス内の75%となっていますので、毎年日本に輸入されてい米の総量の範囲内ですので、タイ米がアメリカ米に変わるという以外、特段の変化はありません。
では、他に何かあるのでしょうか。実は大ありです。一般的にはマスコミでは報じられていませんが、日本で発生した令和の米騒動で、思いもかけず漁夫の利を得た国があります。韓国です。
一月ほど前だったと思いますが、西日本新聞に1面全紙を使った韓国特集記事が出ていました。西日本新聞は釜山日報と提携している関係か、月1で1面を全紙を使った韓国特集が掲載されます。当然のことながら、韓国旅行したくなるような記事ばかりですが、今回は珍しく、韓国の米農家がテーマでした。
記事によると、韓国では生産調整は全くなされず、農家が好きなだけ作り放題。米余りで米価が下がる場合は、政府から補助があり、余った米は全量政府が買い取る仕組みだそうですので、米農家の収入は常時安定しているという。
昨今の米作りは機械化されているので、高齢になっても米作りを続ける農家が大半だという。高齢になっても田んぼがあれば確実に収入が得られるので、誰も田んぼを売りに出さないという。土地の有効活用を考えたい政府にとっては、痛しかゆしの状況らしい。
耕作放棄地が広がる一方の日本との何という違いか。また韓国政府にとっては、余った米は全量買い取る仕組みなので、在庫が膨らむ一方であるのも頭痛のタネ。
そこに隣国日本で米不足と米価の爆謄。この機会を韓国が見逃すはずはありません。何と、韓国米の日本への輸出は一気に30倍にも跳ね上がったという。韓国政府はホクホクだったはず。ところが、石破政権は辞め際に、米の増産を発表。韓国政府は大慌てだったのではないか。
しかしほどなくして発足した高市新政権の鈴木農水大臣は、就任するや即座に米の増産方針を撤回。やれやれ、韓国政府は胸をなでおろしているはずです。
鈴木農水大臣が、韓国内の米生産事情を知っていたか否かは分かりませんが、大臣の米の増産撤回表明は、韓国政府を大喜びさせていることは紛れもない事実です。その一方、日本の消費者を見殺しにされたも同然です。
ただ、日本への米輸出が30倍に増えたとはいえ、韓国米は店頭では見たことはありません。おそらく、一般家庭向けではなく、外食などの商業用に輸出されていると思われます。これまでも、日本各地にある韓国料理店などには輸出されてきたのでしょうが、対象が一気に拡大したのだろうと思われます。
鈴木大臣の最大の問題は、米の増産撤回という大きな方針転換をしたにもかかわらず、撤回に至った根拠が極めて薄弱なことです。米生産、引いては日本の農政を熟慮した気配もなく、こんな重大な方針転換ができるのか。
ひょっとして鈴木大臣は、韓国政府の意をくんで唐突に増産撤回を表明したのではないか、とも邪推したくなるほどです。この問いは、任命権者である高市総理に向けたものでもあります。

