木原問題と法治

木原問題と法治

2023-08-01

1.犯罪は法の裁きを

木原副官房長官をめぐる問題が異様な展開を見せています。当時の捜査官が直々に告発会見を開いたぐらいですから、当時の捜査に不自然な介入があったことは完全には否定できないはず。

安倍元総理襲撃事件後に、新たに就任した露木康浩警察庁長官は、本件は疑惑なしで解決済みだと、木原氏擁護の発言をしていましたが、この露木氏は、事件もみ消しがあった当時の刑事局長であった人です。

露木康浩警察庁長官の経歴

2018年(平成30年)8月31日、警察庁刑事局長に就任
2020年(令和2年)1月17日、警察庁長官官房長に就任
2022年(令和4年)8月30日、警察庁長官に就任

本事件捜査の流れ
捜査も会見も突然中止。木原誠二官房副長官の妻「元夫不審死事件」をめぐる“忖度とタレ込み”の裏
国内2023.07.21 by 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』MAG2

2018年春  再捜査開始
2018年10月  木原誠二氏の自宅捜査
2018年11月  突如、捜査中止     

単純に時系列で事件の流れを見るだけでも、捜査が不自然に中断させられたことは明白です。木原氏は、事件を連続報道している「文春」に対して、人権侵害だとして刑事告訴したという。

刑事告訴の方が木原氏にとっては有利に働く公算は非常に大きいわけですが、ほんとうに報道が事実無根であれば、名誉毀損の裁判に訴え、公開の場で行われる法廷=国民の前で、白黒の決着を付けていただきたいと思いますね。

ただこの事件は、一見保守系っぽい雑誌「Hanada」の最新号が、岸田政権批判として取り上げていますので、注意を要します。「Hanada」は安倍元総理を褒め称えてきた雑誌で、安倍氏亡き後も安倍賛美が続いていましたが、最新号では、大阪万博では統治能力ゼロであることを露呈した維新の会が登場です。

確かに、木原問題を全く取り上げようとしてこなかった、一般マスコミの異常さについての「Hanada」の批判はまさにその通りです。しかし、この事件捜査が権力によって潰されたのは、「Hanada」が褒め称える安倍政権時であったことこそを、まず真っ先に指摘し、時の政権を批判すべきではないかと思います。

ちなみに「Hanada」は、統一教会がサイトで同誌の記事を紹介していましたので、告訴や提訴の対象ではないお気に入りのメディアのようです。この点も注目ですね。

ところで、最初に木原問題が発生した2018年には完全に秘匿されていた事件が、5年経った今になって突然公になったのは、上記の新恭氏が指摘しているように、岸田潰しを狙ったリークによるものだろうと思います。しかし、殺人事件捜査を権力を使って中止させたのは安倍(管官房長官)政権です。

本事件でもっとも重要なことは、安倍(管)政権時に、なぜこの事件の再捜査が唐突に中断させられたのか、その真相を明らかにすることではないかと思います。この真相究明こそが、同じような権力乱用の防止には絶対不可欠です。

この真相が明らかになり、政治的圧力を排したもとで捜査が進めば、木原副官房長官の奥さんが殺人に関与していた否かも明らかになると思います。

再捜査で関与が否定されたならば、晴れて疑惑は解消します。もしも仮に、奥さんが関与していたことが明らかになった場合は、奥さんには罪に服していただきますが、木原氏は、奥さんが刑期を終えて出所なさるまで待つ。それこそが真の夫婦愛ではありませんか。

政府高官であるという自分の立場を悪用して捜査を妨害することは、法治を否定する行為であり、 奥さんを守ることにはなりません。国の信用を失墜させ、ただただ国民を冒涜するだけの、政治家にはあるまじき行為です。

木原氏は、岸田総理の右腕とも呼ばれているほど重要な方だそうですが、そうであるならばなおのこと、事件への関与の有無については厳正に捜査する必要があるはずです。 

松野官房長官は、本人に聞いたところ、事実ではないと全否定したので、政府としてはそれ以上の措置は執らないと発表しました。本人が否定したらそれで疑惑はなしということです。

これで通用するのであれば、日本は法治国家ではありませんね。法律も裁判所も警察も無用です。

官房長官が、こんな政府見解をぬけぬけと発表したことには、日本の法治の土台はここまで崩れているのかと唖然とさせられただけではなく、そら恐ろしくさえなります。

目下、福岡県の筑豊地区にある大任町では、町長が、公共事業に関する情報公開請求を拒否し続けるという、情報公開条例どころか、憲法違反にも当たる異常事態が続いていますが、なんと、この違法町政を、国会議員である武田良太衆議院議員が強力にサポートしていることが西日本新聞で報道されていました。

武田元総務相秘書、情報公開請求の取り下げ要求 福岡・大任町の公共工事文書巡り「なかったことに」 2023/7/27 西日本新聞

なぜ町長が情報公開を拒んでいるのかというと、町長が暴力団と組んで、公共事業で私腹を肥やしているからだという。公開拒否の理由をはっきりと報道しているのは、HUNTERというネットメディアだけですが、国家公安委員長まで務めた武田氏がこの違法町長を強力支援!!!

今の日本では、憲法や法律は何の役にも立っていないということです。武田氏は、安倍・菅政権では、国家公安委員長、総務大臣を歴任しています。

岸田総理が今後も総理大臣を続けたいのあれば、今の日本にもっとも欠落している遵法精神を、まずは政治の世界に取り戻すことです。それ以外に政権浮揚の道も存続の道もないはずです。

その遵法闘争の筆頭としてなすべきことは、宗教法人にあるまじき違法行為、人権蹂躙行為を延々と続けてきた統一教会に対して、宗教法人としての特権を剥奪することです。遵法とは、ただお題目を唱えるだけではなく、実際行動で示す。今なお、自民党内に数多く存在する統一教会シンパ議員を覚醒させるためには、実行動で示すことでその違法性を思い知らせる以外に方法はないはずです。

最近は、統一教会による裁判乱発が功を奏しているのか、あるいはマスコミ工作が進んでいるからか、統一教会への解散命令を妨害するような記事なども見かけるようになりましたが、こんな記事に惑わされてはなりません。

政府のなすべきことは、法に則って、法の正義を実行することです。

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