変質する日本人

変質する日本人

2019-03-09

「葦の葉ブログ2nd」より転載

日本人も変わったなあと思わせられる人物が再登場しました。公判が始まった、籠池泰典氏とご夫人の詢子氏です。森友学園騒動はこの籠池氏が震源地ですが、原因を作った張本人である籠池氏自身は全く責任を感じておらず、それどころか自分は騒動の被害者であると言い立ててきました。

さらにその上、籠池氏が小学校用地として目をつけた国有地を超格安で籠池氏に払い下げるべく、安倍総理や昭恵夫人が動いたといって、マスコミと一緒になって安倍総理批判も展開してきました。マスコミは籠池氏に完全に同調して、今回も公判開始前から早々と籠池ヨイッショ記事を発信していますが、非常に不思議で不思議でなりません。

森友問題は、二つの視点から見る必要があります。まず一つは、われわれ国民の視点からですが、もしも安倍総理の関与によって大幅値引きが実現したのであれば、親しい人に国有財産をタダ同然で払い下げたことになりますので、安倍総理は厳しく糾弾されるべきですが、事実は、籠池氏の脅しにお役人が屈したということです。お役人が悪いのではなく、元々欠陥土地であったところに、建設工事開始後に大量のゴミや土地の汚染が新たに見つかり、それをネタに夫婦そろって毎日近畿財務局に押しかけ、罵詈雑言をあびせながら(罵詈雑言は詢子夫人のお役目)の執拗きわまりない脅しと業務妨害が続く中、近財局はやむなく超格安で売却することを決断したということです。

新たなゴミが見つかるまでは、籠池氏は10年後の買い取りを前提にした特例的な借地契約を交わし工事に着手したのですが、この借地契約も、借地料が高すぎる、もっと安くしろと連日近財局に押しかけ、契約を交わさぬまま、勝手に土地のカギを壊して工事を始めるという無法行為が発覚。その無法ぶりに、近財局がついに契約解除の通告をしたところ、籠池氏は渋々契約を交わしましたが、その後も夫婦は近財局に連日のように出向き、値引きを求め続けていました。

一方、建設計画の不備が理由で建設許可保留になっていましたが、大阪府が、条件付きながら小学校建設の許可を出した(大阪府の許可が出なければ、工事開始は不可能でしたので、なぜ許可されたのか。この検証も必要ですね。工事が開始されなければ、土地の大幅減額問題は発生しなかったからです)ことから、銀行からの融資も可能になり本格的な工事が開始されました。

ところが、その渦中で新たなゴミと土地汚染が発覚。その処理をめぐって、管理していた国交省大阪航空局の委託業者と、森友学園が委託していた建設工事の業者とが協議し、全てを搬出すると、土地代金よりも高くつくので敷地内に埋めることで合意しましたという。しかし、籠池氏がこの事実を知ったことから大騒動に発展したというのがこの事件の発端でした。籠池氏は業者に騙されたといって、近財局はもとより、何人もの自民党議員にも訴えてつ一方、この騒動で建設工事がストップしたこともあり、近財局に損害賠償請求攻撃を開始。

すでに工事が始まっていましたので、この騒動が原因で開校が遅れた場合も含めての損害賠償請求額は、土地代金以上の額になることは子供にも分かる道理ですが、籠池氏はこの騒動を存分に利用し、タダに近い金額にしてくれるなら買い取るという提案をしました。しかもこの提案が拒否されたならば、損害賠償訴訟を起こすと近財局を脅しました。この時点までは土地はまだ借地でしたので、籠池氏は借地料が高すぎると言って、近財局のみならず、地元大阪選出ではない議員も含む、7,8人の自民党の大物議員にも、見境なく減額に助力してくれと訴えつづけていました。昭恵夫人もその一人だったわけですが、効果がなかったのは明白です。新たなゴミ騒動が勃発するまでは高い借地料は一銭も減額されぬまま、土地はあくまで借地であるという状態が続いていたからです。

先日の国会で、自由党の森ゆうこ議員が森友問題を取り上げていましたが、森氏は、この問題の一次資料である、近財局が作成していた籠池氏とのやり取りを記録した文書は全く読んでいないことが明らかな的外れな質問をしていました。この問題を検証したという会計検査院の検証記録を基にしているらしいですが、検査院も一次資料である近財局の記録文書は検証しておらず、本省対象の検証しかしていないはずです。この問題については、近財局の一次資料をもとに詳細に検証しました「葦の葉ブログ」を、昨年の6月に連続で公開しておりますので、是非ともご覧ください。

2018/6/1 人間公害、籠池夫妻

2018/6/8 森友文書と財務省

ここまでの文章でも結構長いですが、本日はこの問題を、日本人の変質を象徴するものだとの視点から検証することにいたします。前回の 韓国と阿波踊り でも取り上げた小室圭氏も日本人的感性からはかなりはずれた特異なキャラクターの持ち主ですが、籠池氏も同様に、日本人的感性からはかなりはずれた特異なキャラクターの持ち主です。贈収賄が絡む政治家と業者の癒着問題は枚挙にいとまがありませんが、これらの一般的な贈収賄事件では政治家にもカネがわたり、両者はある意味ギブアンドテイクの関係にあり、業者はもとより、政治家がより責任が問われることは当然です。

しかし籠池氏は、地元選出の自民党の国会議員のみならず、自民党の大物政治家にまで賃料引き下げ交渉を依頼しまくっています。地元の鴻池議員の秘書は毎日事務所に来られて困っていると言いながら、近財局まで出向いて、籠池氏が迷惑をかけていることをお詫びまでしているのですよ。別の国会議員秘書は、こういう仕事なので、頼まれると断ることはできないが、毎日電話してくるので迷惑していると本音を漏らしている人もいるぐらいです。つまり籠池氏は一方的に国会議員を私的に利用しまくっているだけで、感謝の気持ちはゼロ。相手に迷惑をかけて申し訳ないという気持ちもゼロ。7,8人名前の挙がっている自民党の政治家は誰一人、籠池氏からは1銭のおカネももらっていません。ギブアンドテイクではない、籠池氏からの一方的な要求に政治家が利用されてきたという点でも特異です。

つまり籠池氏は他人を利用し、国会議員や国の機関を私的にかつ独占的に利用するのは、そしておそらくは(裁判で明らかにされるはずの)国や大阪府の税金を特例的に融通を受けるのは、自分の権利だと考えているという点でも、非常に特異な人物だと思われます。近財局に連日夫婦で押しかけ、罵詈雑言を吐き散らしながら、契約書を交わした後も執拗に借地料減額を要求し続けたきた籠池氏の行動からは、学校法人理事長という教育者というイメージとは全く無縁の、超モンスタークレーマーという言葉しか浮かびません。

しかも、超格安での土地買取り実現の責任を、借地料減額の不当な要求を認めさせるために、自ら散々利用してきた政治家たちに転嫁、中でも安倍総理と昭恵夫人の働きかけ(忖度)があったからだとの趣旨の発言を繰り返しています。土地のタダ同然での買取り実現は、夫婦揃っての超異常なクレーマー行動の成果であることを隠蔽する意図によるものであることは明らかです。

これまでの日本人的感性からするならば、自分が無理なお願いをしたので、安倍総理にまで迷惑をかけてしまった。申し訳ないと思うのが普通ですが、籠池氏には感謝の気持ちもお詫びの気持ちも皆無であるだけではなく、安倍憎しで一致する野党とマスコミと一緒になって安倍総理攻撃を続けています。これほど異常な人物は、これまで見たことも聞いたことはありません。当然のことながら、昔からこの種の異常な感性の持ち主も存在はしていたはずですが、これまでは社会の前面に露出することはなかった、つまりはこれまでは、こういう人物は社会的に広く受け入れるにまでは至らずに、目立たなかったということだと思います。

にもかかわらず、最近、こうした身勝手きわまりない非日本人的人物が次々と社会の前面に姿を現すに至ったということは、こういう人物もよしとする風潮が広まってきているということです。とはいえ、こうした風潮はマスコミによって意図的に生み出されたものであり、日本人の大半は今なお違和感を感じているはずですので、変質したのはマスコミだというのが、より正確なところだと思います。

そのマスコミは、公判開始前早々と籠池氏に大紙面を提供し、身勝手きわまりない言いたい放題吹聴に協力していました。1月から西日本新聞に変えたのですが、公判前の夕刊の3面の大半を籠池氏に提供していました。籠池氏は、安倍総理忖度隠しのための国策逮捕だとの主張をするとともに、武士道という言葉を何度も口にし、自分は武士道精神に則って無罪を主張するとの趣旨の発言をしていました。彼は武士道の基本の「き」も理解していない人物であるのは明らかですが、彼は自らの無知には全く無頓着のまま、「武士道」という言葉で我が身をカモフラージュしようとしています。

武士道とは、現在も通用する言葉で簡潔に言いかえるならば、「義」に殉ずる心(精神)ということだと思います。私欲を棄てて義に殉ずるということです。江戸時代では、私欲を棄てて主君に殉ずる(忠義)と解釈されるわけですが、現代では、私欲を棄てて公に殉ずるということになりますね。籠池氏のように、籠池氏個人の私的利益取得のために公(税金・国会議員・公的機関)を利用しまくる行為は、武士道とは全く真逆のものであることは、子供にすら理解できるほどに明白です。にもかかわらず、ヌケヌケと武士道を口にするところに、籠池氏の底知れぬ図々しさが表れています。

朝日新聞WEB版にも、公判前の籠池氏への単独インタビュー記事が掲載されていました。こちらは、近財局の一次資料もごく一部読んだ形跡はあるものの、肝心要の土地代金の大幅値下げが、工事開始後に地中から見つかった大量のゴミと汚染を理由に、籠池夫妻が連日近財局に押しかけ、損害賠償訴訟をすると脅しつつ自力で勝ち取ったものであるという最大のクライマックス部分を完全に無視、削除して、昭恵夫人と土地値引きとを直結させる記事構成になっています。この記事を書いた記者が、一次資料を最後まで読んでいないからか、あるいは最後まで読んだが、昭恵夫人=安倍総理の関与を印象づけるために意図的に最重要部分を無視したのかは不明ながら、結果として籠池氏の主張を補強する内容になっています。この朝日にしろ西日本にしろ、マスコミ報道の怖さをあらためて感じさせられています。

上記にリンクを貼っております、以下のブログににも書いておりますが、この土地をめぐる交渉には、弁護士が介在しています。稲田朋美議員のご主人だといわれていますが、交渉記録には直接の当事者以外の名前は消されています。。

2018/6/1 人間公害、籠池夫妻

2018/6/8 森友文書と財務省

その名前は不明ながら、この弁護士は、籠池氏が自民党の国会議員(谷垣氏の名前まで挙げて近財局に圧力)をフル活用して、連日のように夫妻が近財局に押しかけて借地料減額を要求しつづけていることに対し、近財局は契約書に従って対応しており、国側には瑕疵はないので、籠池氏の減額要求が認められる可能性はないと助言しています。籠池氏はこのまっとうな助言には耳を貸さず、逆に弁護士を批判し始める始末。工事開始後に見つかったゴミと土地汚染をめぐる騒動でも、この弁護士が助言し、2案提案しました。1建設工事を中止して、国から賠償金をもらう。2国から賠償金をもらって建設を続行する。弁護士は工事中止を進めましたが、籠池氏は建設続行を選択。弁護士も籠池氏のこの選択に沿って、近財局との交渉にも加わり、損害賠償訴訟になった場合の国側のリスクを法的に説明しています。

この国有地のタダ同然の値引きには、以上のような経緯によるものでしたが、一次資料を読めば、土地の大幅値引きには安倍総理はもとより、政治家は誰も関与していないことは明らかです。また、籠池氏にタダ同然で売ってでも、籠池氏と二重、三重の瑕疵をもつ土地との関係を断つ判断をした近財局のは最良の判断だったと思います。不当な要求を認めさせようと連日近財局に押しかけ、業務を妨害し続けてきた、超モンスタークレーマー籠池氏こそ批判されるべきあり、この事件を機に国会のなすべき仕事は、この種の超モンスタークレーマー防止のための方策を考えることではありませんか。

炭都物語・表紙

籠池氏ほど私的利益を得るために、徹底して公(税金・国会議員・公的機関)を利用しまくった例は空前絶後のはずです。しかも利用しまくった政治家、そのトップである安倍総理を「自分に便宜を図らさせるために官僚たちに忖度させた」と批判しているのですよ。通常の日本人の感覚ならば、自分のために辞任に追い込まれそうな騒動にまで巻き込まれ、申し訳ないと思うのが普通ですが、逆に攻撃しています。日本人としてというよりも、同じ人間だとは思えないほどの異常さです。しかもこの異常な人物をマスコミが支援!日本(マスコミ)全体が籠池的になりつつあるのでは、と恐怖すら感じています。

今朝の朝日放送ラジオでも、籠池氏の話題が登場しましたが、女性タレントが籠池夫妻の夫婦愛を褒めたたえてさえいます。この夫妻がどれど公的なものを私的に利用しつくしてきたのか、とくと検証しろと言いたい。その異常さゆえにマスコミ受けするからか、この種の軽いトーク番組や大マスコミの偏向報道がまき散らす、美化された籠池虚像の効果が裁判に悪影響を及ばさぬことを切に願います。

Translate »